あてもなく

誰かへの手紙

知らなかったよ 地域コミュニティ活動の世界

今までの引きこもり生活から、少し外へ出る生活を始めています。

いわゆる、働いてお給料をもらうという関わり方ではなく、地域コミュニティの活動という、自分にとっては新しい形で社会に参加しようとしています。

まだ始めて1ヶ月ぐらいかな。

 

わたしは毎週決まった曜日(平日)の午前中に役所の会議室で開催されている市民講座に参加しています。全部で5~6回のコースでこないだ3回目が終わったところ。20名の定員でしたが受講者は10名に満たない数でした。

こういう時間帯に決まってきちんと出てこられるような人ってどういう属性の人たちなんだろう?って思ってたけれど、ほとんどが女性。年齢層は、30代~50代って感じで、45歳のわたしは全体のちょうど真ん中ぐらい。年上と年下が同じ数ぐらいいるなって感じです。

男性は現役を引退された高齢の方(わたしから見て親世代かなって感じの年の頃)が1名のみ。

女性は、フルタイムではないお仕事で講座がある曜日はたまたま休みだから来ているという人、育休中という人、わたしと同じ専業主婦もいて、専業兼業にかかわらず、基本的に「主婦」とか「お母さん」という属性が付いている人ばかりのようです。

 

ド平日の朝っぱらから毎週やるセミナーなんて、ひょっとしてわたし以外高齢者ばっかりなんじゃ?って思っていましたが、わたしがイメージしていたような高齢者は男性の1名のみで、女性の高齢者はひとりもいませんでした。

(実は高齢の男性、初回にはもう1人いたんですけど、終始馴染めない様子で「危ういなあ」って思ってたらやっぱり2回目から姿を見せなくなりました)

 

そんな、10名弱の参加者が、この講座を通じて何を学ぶのかというと、「市民企画講座を立ち上げる方法」です。この10名弱のメンバーが2つか3つの小グループに分かれて、新しい講座を企画するのです。

なじみのない人には「何ソレ」って感じかもしれませんが、ためしに「市民企画講座」でGoogle検索してみると、日本中のいろんな自治体がいろんな取り組みをしていることがわかります。おそらく市町村の広報などにも載っているのでしょう。

大体は「市民企画講座の募集」という内容で、企画して講座を開いてくれる人を探しているという形になってますね。

多くの自治体が、市民に対して「学びたいことを見つけて、先生呼んで、みんなで勉強してほしい」さらには「仲間を見つけてつながりあってほしい」と考えているようです。そして、そのためであれば公共の施設や役所の会議室ならタダで使わせてあげるよ、ノウハウも提供するし補助金もちょっとは出すよ、という感じです。

 

でも、ただ待ってても「アイデア出して人集めて先生探して講座をやってくれる一般市民」なんてなかなか現れないじゃないですか。そこで、我が自治体は「市民企画講座を企画してくれる人」を発掘育成するための講座を開いたということのようです。

聞けば、今年が始めてというわけではなくて、昨年度はコロナで中断したものの、5年ぐらい前から毎年やってたって言うじゃないですか。

知らんかった……。

 

そのような、地域振興の担い手を育成する講座がド平日の朝っぱらから毎週開かれてるわけです。フルタイムで仕事を持っている人、学校に通っている人にはちょっと無理ですよね。

つまり「仕事してない学校にも行ってない、なんか時間を持て余してる人」こそが自治体の考える「地域振興の担い手」像なのかもしれない。そして、そういう社会にかっちりとした居場所がない人を家から引っ張り出して社会に役立つ舞台に立たせることもまた「地域振興」だ、ということなのかもしれません。

 

と、思って実際に行ってみると、集まっているのはかなり意識の高い人ばかりでした。

フルタイムではないにせよ仕事を持っていたり、お子さんがまだ小さかったりして、わたしよりも自由になる時間が少ない状態にもかかわらず、時間をなんとかやり繰りして、やりたいことや学びたいことを実現するために参加されている。

ずっと前から個人で草の根の活動をしてきたような人もいました。

あとは、企画側に回ろうというのは始めてでも、過去にはこの講座発の市民企画講座に参加してみて興味を持った人がほとんどで、わりと前からこういう自治体の取り組みについては知識がある人がほとんどでした。

つまり、本当に何も知らずまっさらの状態で活動に飛び込んでしまったのは、ほぼわたしひとりだけだったんですね。

 

講座では、アイスブレイクと称してひとりずつ楽しく自己紹介をするところから始まって、とにかく「自分はどういう人間であるか」「どういう価値観を持っているか」「どんな動機でこの講座に参加しようと思ったか」など、自分の事を人前で言葉で説明する場面が多いです。それは、自分の考えを言葉にする訓練であると同時に、人の考えを聞く訓練でもあります。

 

そこでわたしが話したのは、

 

「社会から仲間はずれにされている感」

 

についてでした。

 

「ずっと家庭に軸足を置きながら暮らしてきたわたしが、20年の時を経ていざ社会に出ようとしても、もうどこにも受け入れてもらえないように思えた」

そんな話はこのブログでも再三書いてきましたが、自己紹介、志望動機、どんな切り口で語り始めても、最終的に出てくるのは「社会への恨み節」のようになってしまいました。

それで、ああ、わたしって結構社会に対して恨みを溜めているなあ……と改めて思いました。

 

それに対して、他の参加者の人たちは、わたしよりはもう少し社会に対して前向きなように見えました。社会の主流から外れているという意味ではわたしと大差ないステータスの人達が、それでももっと行動を伴う形で社会に働きかけようとしてきた姿がそこにはありました。

それを見て聞いて、わたしもそろそろ「仲間はずれにされた」という社会への恨みを垂れ流すのは終わりにしなきゃなー、と思ったのでした。

この養成講座なんて5年も前から近所の役所で定期的に開催されていたのだし、ということは同時に養成講座発の市民企画講座も年に2~3件のペースで立ち上がっていたわけで、それ以外にもいろんな取り組みをしている人達の集まりはありました。

それらのことをまるっと無視し続けて、「仲間はずれ」と思い込んできたのはわたしの方だったわけですから。

 

とはいえ、ビジネスや学問とはまた少し違うこの「地域コミュニティ活動ワールド」なかなかクセがありますので、たった1ヶ月の間にもモヤッとすることはいっぱいありました。

だけど、そのモヤッとが社会で生きる原動力だったりするのかも。

お陰で、何もしないで家に閉じこもっていた時より、時間の流れが速くなった気がします。

 

というわけで。これからわたし、このワールドで居場所探しをがんばってみることにします。