あてもなく

誰かへの手紙

続・「もったいない」って言わないで

1年ちょっと前にこういう記事を書きました。

 

www.atemonaku.com

 

わたしが、大学卒業してから今までほとんど正規の就職はしたことがなく、現在も仕事をしていないということを言うと必ず言われる、

 

「もったいない」

 

という言葉についてです。

 

前回の記事では、今後もしわたしに「もったいない」って言ってくる人がいたら、「もったいないって言わないで」って言おうと思う、と締めくくりました。

それから1年。

実は、その間にも何回も「もったいない」って言われてきたんですけど、結局、なかなかハッキリと「もったいないって言わないで」と言い切れず過ごしてきました。

相手を否定するような物言いっていうのは難しいです。

「もったいない」って言ってる人に悪気はなく、むしろ褒めるつもりで言っているので。

 

ですが先週、わたしに以前「もったいない」と言ってきて、今度また2回目の「もったいない」を言ってきた人がいたので、ついにちょっと立ち止まって聞いてみたんです。

 

「わたしのどこがもったいないんだろう?」

 

相手の人は、地域のサークルで一緒に活動している人で、わりと深い話もするような仲間の一人なのでこういう話をふっかけやすかったっていうのはあります。

外国籍の方で、少し言葉の表現が独特なのですが、まとめるとだいたいこんな風に答えてくれました。

 

「あなたはとてもいろんな才能があるのに、社会の中でそれを活かすような役割を持っていないことがもったいないと思う」

 

と。でも、

 

「じゃあ、わたしはこれからどうすれば、もったいなくなくなれると思う?」

 

と、続けて聞いたところ、彼女は「うーん」と考え込んでから、

 

「なにかもっと、その才能を活かせるようなことをすればいいと思う」

 

と言いました。ただ、それでは漠然としていてあまり意味がある答えには感じられなかったので、わたしはこう聞きました。

 

「わたしは、家族のことが大事だし、家のことをちゃんとしたいと思ってるからこんな感じなんだけど、それより、主婦なんかやめて、お給料をたくさんもらえる仕事をすればいいと思う? そうすればもったいないって言われなくなる?」

 

すると彼女は慌てて、

 

「そういうことではないよ。ただ、もっと才能を活かせることがあると思うし、見つけて何かすればいいのにって思っただけで…」

 

と口ごもってしまいました。

 

「もったいない」はお金の問題ではないし、ましてや、「主婦」という立場を軽んじているわけでもない、という意味のことを彼女は言って、心底困った顔をしました。

 

わたしも、別に彼女を困らせて追い詰めたかったわけではなかったので、

 

「そうだよねえ~。どうすればいいんだろうね。難しいよね。ごめんね、わたしのこと褒めてくれてるんだよね。それは嬉しいよ、ありがとねー」

 

と言ってその話は終わりにしました。

 

おそらく、もう彼女はわたしに「もったいない」とは言ってこなくなると思います。

軽い気持ちで言った「もったいない」が、相手には決して素直な褒め言葉にならないこと、下手すれば失礼な言葉にもなるんだということがわかってもらえたらそれで良いと思いました。

 

そもそも、わたしが地域のサークル活動に参加して、彼女を含め少し深い話ができるような仲間ができたこと自体が、以前から考えると大きな進歩でもあり、そのサークルの中で、いろんな役割を担っていることもわたしにとっては「能力を活かす」ひとつの形だと思ってました。

ボランティア活動なので、そこでお金なんかもらえないけども。

その活動に関する集まりの帰り道に「もったいない」って言われてしまったのは、ある意味残念なことです。

 

ともあれ、今後も、もしわたしに「もったいない」って言ってくる人がいたら、同じように「何がもったいないのか?どうすればもったいなくなくなれるのか?」聞いてみようと思います。

わたしは別に自分がもったいなくなれる方法を誰かから教えてもらいたいと思っているわけではないので、ちゃんとした答えが返ってこなくても一向に構わないです。

もし万が一明確に「こうすれば良いと思う」という答えを返してくれる人がいたら、その通りにするかどうかはともかく、興味がありますしね。