あてもなく

誰かへの手紙

ポストに入っていた求人広告をみて思ったこと

バイトから帰って我が家の郵便受けを覗くと、いろいろ入ってた中に求人のチラシが混じっていた。

掃除業者のチラシだけど、なかなかオシャレなデザインで「クリーンスタッフ募集」と書いてある。

「主婦のスキルを活かしてみませんか」なんて。

それは、オフィスビルの掃除を請け負っている業者の求人だった。

週3日(平日のみ)午前中のみ3時間で時給1200円という、なかなかの好条件である。仕事内容は、ゴミ回収、掃除機掛け、トイレ掃除。

まあ、それだけなら「ふーん」って思うだけで終わるのだけど、よくよく見てみると、就業場所がわたしの前職のパート先があるビルなのだった。

 

以前わたしはそのビルで事務職として働き、最高で1010円の時給を頂いていた。

今は最低賃金が上がったのでもう少しは事務パートの時給も上がっているはずだけれど……。

ためしに、前職の会社名で「パート」と入れて検索してみると、あっさりと求人情報が引っかかった。おそらく前職と同じ職種のパートで、平日4日以上で1日6時間以上という縛りも同じ。

それが、時給1040円で募集がかかっている。

掃除より安いやないかーい!

どんなに長く勤めても最大でスタート時給から50円しか昇給しないシオシオの規定はおそらくわたしが勤務していた当時のまま健在だろうから、ベテラン熟練パートさんよりも、朝だけ来る掃除のおばさんの方が、最初からずっと時給が高いということになる。

 

考えてみれば、最近は事務系よりも雑用系の方が優遇される傾向というのが始まっているのかもしれない。事務は未来に向かってどんどん自動化される運命だけれど、細かな身の回りのお世話的なお仕事は、どうしても人にしかできない部分として残り続けるのではないだろうか。

ゴミ回収、掃除機掛け、トイレ掃除といえばみんなが嫌がる仕事だし、大変だと思う。もしかしたら、時給1200円だって安いかもしれない。

もしわたしがその仕事に就いて元の職場に舞い戻ったら、前職の仲間たちはわたしは「落ちぶれた」と思うかもしれない。

だけど、時給は断然こっちの方が上なんだよね、とか思うとちょっと面白い。行かないけどさ。

 

事務のパートをしていたときになんとなく感じていたことだけれど、事務のパートの人は事務のパートが色んな意味で一番良い仕事だと思っているフシがあるような気がする。いろんな意味でというのは、体力的にキツくないこと、職場の環境が小ぎれいであること、自分の手が汚れないこと…という感じかな。昔のOLさんのイメージっていうか。

特に年齢が高くなればなるほど事務の仕事には採用されづらくなるので、40歳前後でこの仕事を得たのは最後のチャンスだった、と。もしこの後から得られる仕事といえば、きっと、飲食か掃除か介護だ。だから、この事務の仕事は意地でも手離すまい、というようなことを言う人が多かった。

 

わたしもみんなが言うからそうなのかもなあ、ということはぼんやり思っていたけれど、いろいろあってあっさり事務の仕事を辞めてしまった。そして、今では事務職のみんなが敬遠する飲食店のバイトである。

飛び込んでみれば、時間の融通が利いてなかなか働きやすいし、持病の腰痛にはむしろ立ち仕事の方が負担が少ないこともわかり、自分としては「落ちた」感じは全くしない。汚れ仕事もあるけれど、ユニフォームだから別に汚れても平気だし、手なんか後から洗えばいいだけなのでたいしたことないし。

 

仕事に対するイメージや社会的な見方はどんどん変化していっている。

常にアップデートしていかないと、自分だけが上澄みのところをもらってるつもりが、いつの間にか逆に割を食っているなんてことになりかねない。

わたしも、今はファストフードでうまいことやってるつもりでも、気がついたら何かに乗り遅れているということがあるかもしれない。

そんなわけで、これからもずっと新しい目で世の中を見ていかなければと思った次第ですよ。