自分の年齢って人に言いたくないものですか?
昔っから、「女性に年齢を聞いてはいけない」とよく言われますし、年齢の話がタブーになっている人は女性に多いのかなと思います。
実際、絶対自分の年は言いたくない!っていう人をわたしもたくさん見てきました。
自分の子どもにすら嘘の年齢を教えているとか。(よそでペラペラしゃべられたくないからですよね)
その感覚が、実はわたしはあんまりよくわからないのですよ。
そりゃ確かにわたしも、何の脈絡もなく知らない人にいきなり「あんた何歳?」って聞かれたら「は?」って思いますけど、そうではなくて自然な流れで相手に自分の歳を知られることについて、わたしは全く恥ずかしいと思わないのです。
「失礼なのでお年は聞きませんが」とか言われたら逆にイラッとして「いや、44歳です」とか言っちゃうほうです(笑)
普通に雑談をしていても昔流行ったテレビの話とかをすることはありますし、子どもの保護者同士だったりすると「自分が高校生の時は……」なんて話も出たりして、流行りのファッションだとか当時の世相なんかで自然とだいたいの年齢がわかってしまったりするじゃないですか。
そういう時に「やだっ、歳がバレるからその話終わり!」とかやられたり、歳がバレてしまったとマジ落ち込みされたりすると、正直ちょっと興ざめというか。
「つまんないこと気にしちゃって」と思ってしまいます。
とはいえ、保護者つながりだとどうしてもわたしはその中で年下であることが多く、一番若い者から「歳なんか別にどうでもよくない?」とは言いづらいです。
年齢を気にする人が相手であればなおさらです。
あと女性が「絶対の秘密」にしがちなのって、体重ですかね。
特に太ってないように見える人でも自分のこと太ってるって言うし、間違いなく体重は知られるのが嫌な女性は多いと思います。
年齢と違って類推できるようなヒントが得られることも少ないので、わたしもさすがに自分から今何キロとかは言いません。が、医療機関などで必要があれば下手に隠したりせずきちんと申告します。
わたしは今は体重52キロぐらいですね。
みんなちゃんと体重言わないから「50キロ超えの女はデブ」って思ってる人が多いかもしれないですけど、たとえば160センチ50キロの人ってかなり痩せてる部類です。
わたしが知ってる一番極端な例だと、昔バイトの同僚で「体重をはかられるのが嫌だから健康診断は受けない」という女性がいました。思えば彼女、年齢の話も当然NGでした。でも明らかにわたしより年上だったし、バイトしてた当時でも間違いなく40代以上ではあったので、健康診断は受けるべきだったと思う。
そう思いつつ、わたしは「ふーん」と聞いていましたが……。
なんでこういう話を思い出したかというと、最近ちょっとAEDのことが話題になっていたからです。
心停止となった人の心臓の動きを正常に戻す医療機器、AED。
救急車が到着する前に、心臓マッサージ(=胸骨圧迫)とともに使えば、何もしない場合よりも救命率が4倍上がるとされています。
救命に欠かせないAEDですが、「倒れた人が女性だった」ことを理由に使われない、という事態が起きています。
この記事自体は1年半以上も前のものですが、つい先日NHKのTwitterアカウントでこちらのサイトに関するつぶやきがあって、それで盛り上がったみたいです。
全国の学校の構内で心停止となった子ども232人について、救急隊が到着する前にAEDのパッドが装着されたかどうかを調べたのです。
学校にはAEDの設置が進んでいて、もしもの時にはすぐに使える状態の場合がほとんどです。しかし小学生と中学生では男女に有意な差はありませんでしたが、高校生になると大きな男女差が出ていました。
男子生徒は83.2%なのに対し、女子生徒は55.6%と、その差は30ポイント近くありました。
AEDのパッドは2枚あり、右胸の上と左のわき腹に、直接装着します。
「倒れた人が女性の場合、素肌を出してAEDを使うことに一定の抵抗感があるのではないか」研究チームはそう分析しています。
確かに、倒れた人の服をはだけさせて救命器具を装着するというのは、男女問わず抵抗がある行為かもしれません。対女性ということになると、確かに抵抗感はさらに増すだろうというのもわかります。
だけど、そこまで格差があるなんて。
そして、
このニュースが報道された後、ネット上でも「どうせ助けてもセクハラとか言って訴えられる」「社会的地位を失う可能性のデメリットの方がデカイ」など、トラブルをおそれてしまうといった声があがりました。
と、続きます。
今回話題となっていたのもこのポイントが中心ですが、わたしは「セクハラになる」「訴えられる」ということについての議論に参加するつもりはありません。
そもそも、上記の調査は学校内でのAED使用について調査されたものです。
学校という場所は、そこにいる人たちの間に信頼関係がある場合が多く、指導的立場にある大人もいて、その辺の道ばたに比べれば「訴えられる」なんて心配をする余地が少ない場所だと思うんですよね。
そんな場所でもこれだけの差が生まれているということがとても厳しいなと思います。
さらに、この記事の一番下に寄せられたコメントを見てちょっとショックだったのでそちらを紹介したいと思います。
無記名
2020/02/28 60代
私くらいの年齢でも倒れてもAEDを人のいる場所で使わないで欲しいと思ってしまいます。 大勢の前で裸を晒すなら死んだ方がいいと思うからです。 若い女性だったら余計そうだと思います。 好奇の目で見る男性が必ずいると思うからです。 洋服の上からも出来るようなものが開発出来れば1番良いのですが。
わたしは「大勢の前で裸を晒すなら死んだ方がいい」とはとても思えないですけどね。
AEDで助かるものなら、是非助けて欲しいです。
裸を見られたって生きたいし、できるだけ良い状態で生きながらえたい……。
だから、女性ならみんなAEDなんか嫌に決まってるでしょみたいに言わないで欲しい。
おそらく、この60代の無記名の方は「年齢を言いたくない」し「体重を知られたくない」人なんだろうなあと思います。
わたしが知ってる「体重を知られたくないために健康診断を受けない人」も同じようなことを言いそうだな、って。
程度の差はあれ、そういう考え方の人はそれなりの数存在していて、男性側からも女性側からもひとつの「常識」みたいなものを形成しているというのは間違いないんだろうなと思います。
その「常識」の重みにより、いわゆる「女性に年齢を聞いてはいけない」というマナーと同じように、「女性にはAEDを使わない」という暗黙の配慮が働いてしまうのではないか。
それが、AED使用率の格差につながっているのではないかと思います。
「女の子がこんなところでAEDなんか使われちゃったら一生の恥よ。どうせ生き残ったってお嫁に行けなくなっちゃうわ。かわいそうだからやめてあげましょうよ」
その発想は、わたしの中にはありませんが、上記コメントの女性だったらそのように言いかねないな。もちろん善意として。
女性を女性扱いする際の「マナー」的なものや、女性特有とされる「恥」の感覚って、ずっと文化として人々の中に刷り込まれているもので、なかなか根が深いものだと思います。
それを内面化して生きている女性はまだまだたくさんいるだろうし、そこに全面的に配慮してみせること=「女性に優しくする」ことだと考えている男性もたくさんいるような気がします。
だけど、実際にはそういう「恥」の感覚にも個人差があります。
女性だから、という理由で勝手に「恥ずかしいだろう」と決めつけないで欲しい。
それを変えていくのはとても難しいと思います。
とりあえず、わたしも現状ではAEDで救命してもらえない確率が高そうなので、気を付けて生きようと思います。