あてもなく

誰かへの手紙

「ほめ方がわかるって大事なこと」ってほんとかな

今朝のテレビ番組に、絵本作家でもあるイラストレーターの方が出演されていて、その中で、「ほめ方がわかるって大事なこと」だという話をされていたそうだ。

 

 

わたしはひねくれ者なので、このツイートを見たときに、

「だったら、自分が得意で自分でも出来ることしか子供にやらせられないってことかい?」

って思っちゃったんですよね。

親がその価値を正しく理解できることしか伸ばせないって、おかしくないか、と。

 

まあ、とはいえ、又聞きの話で噛みついても仕方がないので、そのシーンを実際に見てみることにしました。

ウチの録画機は全録機能があるので、今朝のテレビ番組もずっと勝手に録画されているのです。こういう時にとっても便利。

 

この場面は、トークの中でもかなり終盤の方のお話でした。

ヨシタケさんのお子さんの描いた絵を紹介される場面があって、聞き手側の大吉さんが「やっぱりお子さんも絵が上手ですね。DNAをうけつがれてるんですかね」って尋ねたところ、ヨシタケさんの「うーん、DNAっていうよりは……」という流れでのお話。

 

 

自分の専門である絵なら、絵を見ただけで子供がどんな苦労をしてその作品を仕上げたのかを理解することができ、その点を的確にほめることができる。逆に自分も勉強になることがあって面白い。そういうやりとりが自然と子供の興味を刺激して、より意欲を持って絵に取り組むことができるようになった、と。(ヴァイオリンはそうはいかなかったので続かなかった、と)

 

つまり、ヨシタケさんがおっしゃりたかったのは多分「子供の絵が上手なのは遺伝や生まれつきの才能とかそういうことよりは、環境によるものだと思います」ということですね。

 

この話を受けて書かれた上記ツイートは「子供を伸ばすためには、上手にほめなければいけない」というところに主眼を置いたもので、わたしはそれを最初に見てしまったので、ちょっとどうだろう? と思ったのだけど、全部聞いてみたらご本人はそういうことをおっしゃりたかったわけではないということがわかりました。

 

ということを踏まえた上で、思ったことです。

 

子供が、習い事なりなんなりで、音楽や絵などの芸術やスポーツ等を続けるにあたって、親が本質を理解し的確にほめることができるなら、それはそれで良いことかもしれません。

ただ、そうじゃなかったらダメかといえば、もちろんそんなことはないと思います。

何がどうすごいのかを理解し、どういうことが出来ればもっと良くなるのか等を見極めて的確にほめたりアドバイスをするのは、どちらかというと、親ではなく先生の仕事だと思います。

 

だって、親がプロのイラストレーターなんて稀ですよ。

プロスポーツ選手の子しかスポーツの習い事を楽しく続けられないかといえばそんなことはないですよね。

今の時代、子供がちゃんとした先生の下でしっかりトレーニングを受けている場合、部活レベル・昔囓ったことがある程度の親なら、簡単に技術面知識面で子供に抜かされます。

なぜなら、親世代が練習していた時代と現代では練習方法や指導方法が格段に進歩しているし、YouTubeなどで手軽に最高峰のプレーを見て学ぶことが出来るので、子世代の成長は昔よりもずっと早くなっているからです。

 

子供の方がとっくに上手になっているにもかかわらず、親が昔の知識や経験をもとにわかったような口でアドバイスしてきたり上から目線でほめてくるとしたら、むしろそれってモチベーションの低下……逆効果になりかねません。

 

であれば、その辺は先生にお任せするとして。

親が子供を伸ばすために出来ることって、多分もっと単純に「興味を持つ」ことなんじゃないかなあとわたしは思うのです。スポーツなり芸術なり、取り組んでいる対象に興味を持つ、ということではなく、子供自身の成長に興味を持つ、ということです。

何がすごいのか理解して的確に表現することができなくても、子供の成長や上達を喜ぶことはできますし、うまくいかず悩んだりしていることに直接アドバイスすることはできなくても、その苦しみを、親が可能な範囲でサポートする(練習場所に送迎したり、道具を選ぶのに付き合ったり)ことができれば、それで十分子供が頑張れる下地作りは成功しているような気がするのです。

そこから、本当に頑張れるかどうかは子供次第じゃないですか。どっちみち。

 

世の中「ほめて伸ばす」ということが良いとされていますが、「ほめる」というのも諸刃の剣なところがありますよね。

「ほめなきゃいけない」「しかも上手に」ということが親にとってプレッシャーになるのもあまり良くないし、そこを誤ると親子関係そのものが難しくなってしまったりします。

それよりはね、いっそ「ほめなくてもいい」ぐらいのスタンスでもいいのかなって思うんですよね。

わたしの愛読書「嫌われる勇気」にも「叱ってはいけない、ほめてもいけない」という章があるぐらいですよ。

その辺もいろいろ書きたかったのですが、長くなってきたので、今日のところはこの辺で。