あてもなく

誰かへの手紙

子供が習い事を辞めたいと言い出したら

「こんなこと続けて意味があるんかなあ」

 

これ、辞めちゃう人が辞めちゃう時の合図ですよね。

わたしは、習い事も部活も仕事も資格の勉強も、全部コレでやめてるから間違いない。

 

 

例えば、わたしは中学生の時にピアノをやめましたが、そのときがこんな感じ。

中学に入って部活を始めてからとても忙しくなってしまった。朝や土日にも練習があって身体はとても疲れるし、学校の勉強も難しくなったしテストもある。

練習もあんまりしないのに親にお金を使わせてるのも、なんかドブに捨ててるみたいで罪悪感がある。

月謝を払ってるとはいえ、何の進歩もしないのに先生に時間取ってもらってレッスンしてもらうのもなんか申し訳ない。

中学生ぐらいでも、そういうことも気にするもんじゃないですか。

それらがまとめてストレスになって襲いかかってくるので、「そこまでして続ける意味はあるのだろうか」と思うようになりました。

ストレスから逃れるためには「辞めるしかない」と。

親は特に何も言いませんでした。残念そうにはしてたけど。仕方ないよねって。

 

でもね、今わたしが大人になって思うのは、「続ければよかったのにな」ということです。今思えば、わたしはそんなにピアノが下手な方ではなかったと思います。耳も良かったし。続けていれば、もっと楽しいことができたかもしれない。(ま、できなかったかもしれませんがw)

なんというか、「辞めちゃったー」っていうこと自体もちょっとした傷になりますからねぇ。辞めないで済んだらそれに超したことはなかったなあと思います。

 

とはいえ、中学生だったわたしが「辞めるしかない」という結論しか選べなかったのもよくわかる。その状況で「それでも続ける」という選択肢を選べるのは、多分めちゃくちゃ欲張りで根性がある人だけです。

わたしはどっちかというと欲もエネルギーも、負けん気も根性も、何もかも足りない薄味の人間なので……。やっぱり難しかったです。

そんな「ほどほど」のわたしが、ピアノを続けられた可能性があったとしたら。

それは、親とか、信頼出来る大人に、ちゃんと方法を示して「こうすれば続けられるよ」と言ってもらえた場合だっただろうなと思います。

 

そう。

その経験からお伝えしたいのですが、子供になにか続けて欲しいことがある親御さんは、子供が「こんなこと続けて意味があるのかなあ」とか言い出したら、その問いにはきちんと向き合って、ほんとうのところ何が一番「無理」になっているのかを切り分けて一緒に考えてあげるのがいいんじゃないかなと思います。

間違っても「なんだそれ、やる気がないなら辞めちまえ」みたいなこと言ったらダメよ。

 

どんな習い事も、辞めちゃいけない理由なんて実はそんなにありません。

続けていた方が楽しいよとか、辞めたら寂しいじゃんとか、せっかくそこまで出来るのにもったいないよとか、わりとふわっとしてる。

頑張ったらプロになれるかも!なんて補償もないしさ。

 なので、それよりは、別に辞めなくてもいいんだよ、続けても大丈夫だよって安心させてあげるのがいいのではないか、と思います。

 

上にも書きましたが、ピアノを辞めてしまった頃のわたしは、

あまり練習できないのに親にお金を出させていること、先生に時間を取らせてることに罪悪感を感じていました。

また、身体を休めることや勉強との兼ね合いなど、時間配分に苦労していました。

であれば、親が「お金のことなら気にしなくていい」と言ってくれるだけでもちょっとは安心できたかもしれないし。

また、先生によっては「レッスン以外で一切ピアノを触っていなくても、レッスンに来て週1回だけピアノを触っていればそれだけでも意味はある」とおっしゃる人もいます。わたしは、自分の先生がどういうお考えなのか聞いてみることさえしなかった。子供でしたからね。どう思ってたのかなあ。最後のレッスンで寂しそうにされていたのを今でもちょっと思い出すのです。

勉強が心配、といっても、食事をしたりお風呂に入ったりちょっとテレビを見たりする時間はあるわけなので、そのルーティンの中に「ちょっとだけピアノを弾く」とかそういうのを挟んでみるとかね。

練習と言えば1時間ぐらいみっちりやらないと練習したウチに入らないのではと思い込んじゃって、その時間が取れないことに罪悪感を感じてたりもしたんですが、辞めてしまうことに比べれば、「1日10分しか弾けない」なんて全然アリじゃんねと今なら思うわけですよ。

 

今となっては後のまつりだけど、「もしそんなことを言ってくれる大人がいればよかった(かもしれない)」と思うことを書いてみました。

 

もちろん、本当に嫌いだったり合わなかったり無理してたりして、辞めた方がいい習い事もあるので、ケースバイケースですよー。

そういう意味でも、大人が一歩引いたところから子供の「辞めたい」をどうサポートするか考えてあげるのって大事なことじゃないかと思うのでした。