あえての、玉うどん

冷凍のうどんが一般の家庭に普及したのって、多分わたしが中学生ぐらいの頃（30年ほど前）のことだったと思います。

それまでは、家で食べるうどんといえば、冷蔵のコーナーで売られているこういう

ゆでてパックされてるうどん、通称「玉うどん」しかありませんでした。

（乾麺もあるけど、茹でるのに時間がかかるから親はあまり使わなかった）

子供の頃、週末のお昼にはこういう玉うどんを使ったうどんが出されることが多かったのだけど、正直言ってわたしはこのうどんがあまり好きではなかった。

家から一番近くにあるお豆腐屋さんでは冷蔵ケースで玉うどんを扱っていて、たまに母に言われて買いに行かされたものでした。

全然好きじゃないのに自分で買ってくるのか～テンション下がるわ～（当時はそんな言葉遣いはありませんでしたけどね）

そんなある日、我が家に冷凍うどんというものがやってきました。

こういう冷凍のヤツって、玉うどんに比べるとめちゃくちゃ美味しいですよね。

初めて食べたときにはかなり衝撃を受けました。

今では、家庭で食べるうどんってほとんどコレじゃないですか？

ただ、冷蔵のコーナーにも玉うどんはしぶとく生き残っています。

正直、玉うどんに需要はあるのかな？と最近まで思ってました。

味で言ったら、大差をつけて冷凍うどんの勝ちでしょう。

ゆでうどんだって冷凍うどんだって、基本的には、食べる時にはお湯を沸かして茹でなきゃいけないから手間はそんなに変わらないし。

冷凍うどんは冷凍庫で長期保存が利くけど玉うどんはせいぜい1週間ぐらいしかもたないし、いくら考えても玉うどんに勝ち目はない、と思っていたのです。

ところが、1ヶ月ほど前のこと。

コロナで物流がおかしくなって、ある日スーパーで冷凍うどんを買おうと思ったら完全にそこの棚だけ空っぽで冷凍うどんが手に入らないということがありました。

そのとき握りしめていた献立メモには、しっかり「うどん」の文字。

どうしても今回の買い物でうどんを手に入れないと、献立の計画が狂ってしまいます。

そこでわたしは、冷蔵コーナーに移動して、仕方なく玉うどんを買って帰ることにしました。

冷凍うどんは完全に売り切れなのに、玉うどんはたっぷり在庫がありました。

それでその日の昼ご飯は冷蔵の玉うどんを使った、肉うどんのメニューに変更になりました。家族に「冷凍うどんが手に入らなかったから、いつもと違う味になっちゃうかも、ごめんねー。コロナで品切れとかホント嫌よねえ」なんて愚痴りながら。

でもね、できあがった肉うどんを一口食べてみたら、思ってたよりかなり美味しい。

むしろ、以前冷凍うどんを使って作った時よりもおいしい。

冷凍うどんは表面がツルツルとしていて歯ごたえがかなりしっかりしたうどんですが、玉うどんは表面に少し凹凸がある感じ。その表面の凹凸にちょっと甘辛いお肉のタレがしっかり絡んでちょうど良い感じ。

実は冷凍うどんって、麺そのものの味がわかる前にツルッと喉を通っていってしまうようなところがありませんか。

玉うどんのほうが歯ごたえがない分しっかり口の中で咀嚼される分、余裕を持って味わうことができる気がします。

家族にも好評だったので、今後肉うどんを作る時にはあえて玉うどんを買うことにしようと決意したのでした。

（冷やしてぶっかけうどんなどにして食べる場合は絶対に冷凍うどんの方が美味しいですけどね）

それにしても、玉うどんもわたしが子供だった頃に比べればずいぶんと進化したんじゃないかなと思います。昔はもっともっとコシがなくてプツプツ切れちゃってたし、味も全然違ったと思う。

では、わたしがつくる肉うどんのレシピ、置いておきます。

完全に、いろんな「素」を使って作りますよ。でもおいしいよ。

例によって3人前。

七味とかあったらおいしいかもしれない。

でも、七味っていつも使い切れずにダメにしちゃうんだよなあ。だから、なんとなく買えずにいる。

毎回「七味あればいいのにね」って言われちゃうんですけどね。困ったもんだ。

そういえば、わたし「家で作るラーメンは嫌いだ」って言ってたけど、うどんはあんまり苦にならないみたい。肉とタマネギを切って別鍋で具を用意してる分、うどんの方が却って手間が掛かると思うんだけど。

結局のところ、仕上がったものが美味しければ文句ないってことですかね。

あてもなく