あてもなく

誰かへの手紙

ピアノの発表会の自粛と経済への影響について

わたしは小さな世界の話しかわからない者なので、これもわたしが観察できる範囲での小さな話。

 

ウチの子が習っているピアノの先生のお教室は、毎年6月に発表会を開いている。

こんな時期なので、今年は発表会は中止とのこと。

ただ、せっかく会場は取ってあって、半年ほど前からみんな曲の準備もしてきているので、年齢別に4~5人程度ずつブロックを区切って、演奏の聴きあい会というのをしましょうという提案があった。

もちろんこれも「やりたい人だけ」というお誘いなのだけど、それなりにメンバーは集まりそうだという話だ。

ウチの子も参加させてもらう。

詳細は未定だが、会場の費用を人数で割って、概算で一人2000円ほど集金させて頂くことになると思うとのことだった。

 

それを聞いて「そんなにお安くて良いの?」と思ったんだよね。

例年、発表会の参加費は10000円ちょっとかかっていたから。

でも、純粋に会場であるホールの使用料と、ピアノの使用料・調律費のみを演奏時間で割ったらそのぐらいで済むのかもしれないな、と。

 

もし普通に発表会を開いた場合には、以下の費用が別途必要になる。

 

プログラムの印刷代

舞台のお花代(終演後出演者がみんなで分けて持ち帰る)

写真代(専門のカメラマンが入って撮影、演奏中と集合写真を各1枚)

参加記念品(近所の楽器店で用意された音楽モチーフの小物や文具等)

あとは……受付や誘導係・アナウンスなどお手伝いの学生さんへのお礼(バイト代)とかもあるかな。

 

 

こうして見てみると、ピアノの発表会ってホールやピアノの使用料よりもそれ以外の経費の方が多く掛かっていることがわかる。

おそらく先生は、実費を超える費用は計上されていない様子。

(わりとピアノの先生って、そんな感じで活動されてる方が多い印象)

 

(プログラムの印刷は家庭用のプリンターで先生が自作されているっぽいので用紙とインク代だけだとして)

発表会が開けなくなったことで、お花屋さんとカメラマンは仕事がなくなった。

楽器店も、本来だったら売れたはずの品物(記念品)が売れなかった。

こういうことが、今現在、多くのピアノの先生の教室で発生しているということになる。

 

花屋さんについては、卒業式や入学式などの学校行事が中止(縮小)されたり、職場の歓送迎会が自粛されたりしたことでの影響がニュースなどでも取り上げられていたが、このように草の根で開かれていた小さな発表会が軒並み中止されていることで継続的に打撃を受け続けているものと思われる。

写真屋さん・カメラマンのお仕事でも、ほぼ同じことが言えるだろう。

学校行事や各種ステージ、それから子供向けのスポーツ大会なんかでも、記念写真を撮られるカメラマンさんの姿はつきものだった。

それらが概ね自粛されている状況では、きっと大打撃を受けておられるに違いない。

 

その他、発表会が開かれていれば、出演者の周辺では参加費以外にもいろいろな支出をする必要があったはずだ。

ステージのために新しい衣裳を購入したり、おじいちゃんおばあちゃんが遠方から観にきてくれたり、演奏後はみんなでお食事に行ったり……。

 

それらは、ある面では「痛い出費」でもあったのかもしれなくて、今年は2000円で済むというのは家計簿だけ見てれば「助かった」とも言えてしまうのだけど、実際には、そういう「痛い」出費を各家庭が少しずつ積み上げることで経済が回っていたんだよね。

 

今後、またいつか、発表会が開ける世の中は戻ってくるのだろうか。

もし戻ってきたとして、いろんな催しを再開しようと思った時に対応出来る花屋さん・写真屋さんは残っているのだろうか。

とても心配なところである。