あてもなく

誰かへの手紙

紙をめくるときに指をペロリと舐めてしまうお年寄りのこと

ファストフード店でアルバイトをしていて、主にレジを担当しています。

今日印象に残ったお客様は、マスクをしたおばあちゃん。

 

おばあちゃん、お会計の時にお財布から紙幣を出そうとしたのだけどうまく取れなくて、指を口元に持って行った。

マスクに阻まれ実際に指を舐めることは出来なかったが、その仕草、普段から指先で紙を扱うときにペロリとするのがクセになっている人なのだろうと思う。

マスクしてて良かったね。今の時期は、感染予防の観点からは、洗っていない手で鼻や口を触るのが一番危険って言われているからね。

 

そのときおばあちゃん、ほんの一瞬だけどちょっと怯えた目で自分の指を見つめていたんだよね。

マスクをされているぐらいだから、それなりに感染症予防には関心を持って取り組んでおられる方なのだと思う。

きっと、外出中どこを触ったかもわからないような汚い指を舐めるなんて論外!ってことは理解していて、十分気を付けようと思っておられるはずなのに、無意識のうちにクセが出て、指ペロリなどという命に関わりかねない行為をしてしまった。

そんな自分が怖くなったのかもしれない。

ほんと、無意識って怖いのよね。

おばあちゃん、どうか、これからもマスクをしっかりつけて過ごされますように。

 

レジに立っているとよくわかるけれど、お財布から紙幣を出す時に指を舐める人、ある一定の年代以上の人にはまだまだたくさんいらっしゃる。

その行為を心から「汚い」と感じるかどうかって世代間で差があるようなのだ。

もちろん、手指の潤いが減少して薄い紙を上手に剥がせなくなる現象は年を重ねるごとに深刻になっていくという事情はあるにせよ、今40代である我々世代がたとえば20年後、人に渡す紙類を扱うのに指をペロリするような老人になるかどうか考えると、なんとなくそうはならない気がする。

わたしたちの世代は、昔、学校で中年の先生がプリントを配るときに指をペロッとするのを見て「うわー汚い!」って震えてたよね。

事務作業で大量の紙を数えたりするときに「ゴムの指サックが欲しい」と思うことはあっても、無意識に指をペロリしちゃうような習慣はない。

 

指ペロ世代のお年寄りの中には、クレジットカードなんかを取り出す時にも、ちょっとモタモタすると自分でじれて指を舐めちゃう人がいる。プラスチックのカードは多分指を湿らせることで取り出しやすくなるようなもんではないのだけど、彼らはなんとなく、指を舐めることを「器用さがアップするおまじない」みたいに思っているところがあるようだ。

紙ならまだ水分を吸い込む余地があるので、ペロリして渡されてもこっちが触るときにはちょっとは減ってそうな気がするけれど、プラスチックのカードは一切水分を吸収しないので、ダイレクトに唾液が残ってそうで、正直とても嫌な気持ちになる。

できるだけお客さんの指が触れてなさそうな部分を持って対応しているわたしなのだ。

 

たくさんのお客様のお会計を取り扱ってきたけれど、全体的に、年を重ねるごとに、指先が不自由になるのだなあというのは強く感じることだ。

財布のファスナーがうまく開けられない、たくさんの小銭の中から必要なものをつまみ出すことが出来ない、何枚か重なった紙幣から使いたい1枚をサラッと出すことが出来ない、など、本当に不便そうだと思う。

キャッシュレスって「お年寄りにはわかりにくい」なんて言われているけれど、本当はそういう人たちこそキャッシュレスはオススメなんだけどねえ。

なかなか難しいんだろうなあ。

 

ま、そんなわけで、誰が「ペロリ」してるかわかんないので、お金ってホントヤバいんだよ。触ったあとは必ず手を洗うこと。みんなも気を付けよう!

そして、だから今こそキャッシュレスがオススメ。

中でも、店員に渡さずピッってできるタイプのキャッシュレスが良さそうですよ。