あてもなく

誰かへの手紙

「テレワーク」を考える時に抜け落ちている視点(1)



元々は東京オリンピックの開催に当たってぼちぼち議論されつつあったが、ここへきて新型コロナウイルスによる肺炎の影響で一気に注目されているのだ「テレワーク」の話だ。

「会社に行かなくても仕事が出来るのか」

「そのために会社はどんな設備を整えればいいのか」

などの議論はいろんなところで交わされているのを見かける。

しかし、その中でいつも見過ごされている問題があると感じる。

それは、テレワークをする人を受け入れる側、つまり家庭に及ぼす影響についてだ。

 

普通に会社に行って働いている場合においては、その社員が既婚だとか独身で一人暮らしだとか実家暮らしだとか、そういった個人的な背景が注目されたり、直接仕事に影響を与えたりすることはあまりないし、会社側がそういった事に対して配慮する必要はほとんどない。

しかし、テレワーク、つまりプライベートな空間へ職場を移すということになると話は違ってくる。

家の中に、働く人がいる。これは、受け入れる側にとっては大変大きな環境の変化である。

 

例えば夫婦と子供といった家族構成で3LDKのマンションに暮らしている一般的な家庭があったとしましょう。

普段は朝出勤して夜帰宅するライフスタイルのお父さんのために、個人用の部屋があるケースはわりと少ないのではないかと思われる。

そんな自分の個室を持たないお父さんが、さあ今日から2週間、家でバリバリ仕事をしますよということになる。

仕事をするのは、おそらくLDKに置いてあるダイニングテーブルになるでしょう。

どっかから延長コードでも引っ張ってきて、ノートパソコンを設置。

そのために、お母さんは朝ご飯に使ったテーブルを急いで片付けます。

午前の部は、9時始業で12時まで。

始業と共に、夫の携帯にはひっきりなしに仕事の電話が入るので、掃除機を掛けるのも気を遣います。

横のキッチンで朝食の食器を洗うために食洗機を回していたら、

「ごめん、電話が聞こえないから食洗機、一旦停めてよ」

なんて。

テレビなんかもちろんダメですね。

こうして妻は自分のペースで家事を進めることができなくなるのです。

 

もちろん、「お昼ご飯どうするの」問題だってあります。

普段からお弁当を作ってる奥さん(偉い)ならともかく、普段は社食や外食でというような夫であれば、昼食についても配慮が必要です。

もちろん、会社に行って働いている時と同じと割り切って、昼食は勝手に外に食べに行ってもらうという選択肢もありますが、それも事前にきちんと話し合っておかないとトラブルの元になります。

家の周りにお手頃な定食屋さんやファストフードのお店はありますか?

昼休みの1時間の間に行って食事をして帰ってこられますか?

 

12時が近づいて空腹を感じた夫が、PCから顔も上げずに、休日感覚で

 

「ねえ、今日のお昼ご飯って何?」

 

などとキッチンにいる妻に不用意に問いかけでもしたら、どうなるでしょうね。

いやー、恐ろしい。

 

さてさて、お昼が済んで午後になると子供が学校から帰宅してくる。

本来、ダイニングテーブルは帰宅した子供のおやつの場だったりします。

最近は勉強机を買わずダイニングテーブルで勉強させるのも流行ってますね。おやつを食べたらその流れで宿題、というのが子供のルーティーンになっている場合もあるでしょう。

リビングのテレビに接続してあるゲーム機で遊ぶのを楽しみに帰ってきてるかもしれない。

それが、

 

「今、パパお仕事してるから。静かにしててね」

 

ってなるわけです。

テーブルは使えない。だって、そこは今はオフィスなのだから。

ゲームもできない、友達も呼べない。

 

と、ここまで想像しただけで疲れてしまいました。

まだまだ書き切れてない部分もあるけれど、要は、「テレワーク」=家で仕事をするということはそういうことです。

 

「テレワーク」を考えるにあたって、そういうことを論じている場を見たことはあまりない。わたしの見聞が狭いというのであれば申し訳ないけれど。

 

もうちょっと書きたいことがあるけれど、とりあえず字数がだいぶ溜まってきたので今日は一旦ここまで。