あてもなく

誰かへの手紙

家族の誕生日だったけど忘年会に出た話

10月の終わり頃に、12月のとある土曜日の晩に忘年会があるので出来れば参加して欲しいという話がきた。

子供の学校関係でわたしは世話役のような係をしていて、その忘年会というのは、学校内の集いではなく、他校で同じような係をしている人たちが地区ごとに集まっている組織(ここでは支部会としておく)の忘年会だった。

連絡をくれたのは校内の世話役たちの中でトップを勤めている人(ここではリーダーと呼ぶ)で、わたしは来年その人の後任としてリーダーになることが内定している。

わたしはこれまでにも支部会の会議に何度か顔を出したことはあったけど、そんな忘年会みたいな席を設けるような集まりだとは知らなかったし、個人的に顔と名前がわかるような間柄の人はひとりもいない。

 

さて、その忘年会の日程が、ウチの家族のひとりの誕生日と見事に重なった。

土曜日に当たっていたので、その日は家族でお祝いするつもりだった。

といっても、忘年会の話が来たときはまだ10月だったので、どんな風にその日を過ごすのか具体的なプランがあったわけでもない。

どうしよう。せっかく土曜日が誕生日なのに、家族揃ってお祝いできなかったら寂しいんじゃないだろうか。わたしがいなかったら、その日の夕飯はコンビニ弁当か出前確定だ。

 

ただ、誕生日の主役に事情を話せば、忘年会に行ってこいと言うだろうと思った。

ウチはそういう家だ。

 

忘年会に声が掛かったのは、わたしだけではなかった。

わたしと同じようなの世話役は他に3人いて、リーダーからは「その3人にもたびのひとさんの方から声を掛けて、人数をとりまとめてほしい」との指示を受けたのだ。

それで、わたし+その3人の世話役LINEグループにそのように書いて送ったところ、3人が3人全員があっさり「予定があるので行けません」と。

 

おぅ……わたしだって予定あるといえばあるんだけど……

 

とはいえ、他の3人と次期リーダーのわたしでは多少立場が違うといえば違う。

それに、ここでわたしまで行けませんって言ったら、次期最高学年になる世話役チームの誰一人今年の忘年会に参加しないことになってしまう。それってどうなん。

それに、今期のリーダーがいるウチに様子を見ておかないと、来年わたしがリーダーになった時に、行ったこともない会にいきなり所見で参加することになってしまう。それもちょっとしんどいなと思った。

 

まあ、そんな感じでいろいろ悩みつつも、やっぱりここは忘年会に参加しておくのがベストと考えて「参加します」と返事をした。

家族の誕生日は別の日にお祝いすることにさせてもらった。

 

結果として、わたしが忘年会に参加したことでリーダーからは感謝されたし、支部会に来ている他校の人たちからいろんな話を聞くことができたし、次の会議に行けば、「あのときはどうも」ぐらい言える間柄の人が2~3人はできた。

正直、何のために集まってるかわからん会なんだけどね。オマケに、参加費(5000円)は自腹だし。

でも、多分、参加したことで何かしらプライスレスな価値は自分の中に溜まったのではないかと思っている。

幹事さんが予約してくれてたお店はお料理が美味しくて綺麗なところだったので、覚えておくと何かの役にたつかもしれないし。

 

こんな忘年会、断るのは簡単だったと思う。

断ったってリーダーは圧をかけてきたりはしなかったと思う。わたしも、仲間の3人が断った時、特に何も言わなかったしね。

我々のやってることは仕事ではないし、リーダーは上司ではないからね。

だけど、断ったら何かしらプライスレスな価値が失われただろうな、と思うのですよ。

断ってみてないからわかんないけどね。

 

自分がもっと若かった頃は、その「何かしらプライスレスな価値」という漠然とした存在をほとんど重視してなかったし、なにより、仕事やそれに準ずる活動の中に、個人的な大事な予定より優先するほどのものは存在しないと思っていた。

有り体に言って、仕事なんかにプライベートを侵食されてなるものかとか思ってたわけです。

 

ネットを見ていると、最近はそちらの意見の方がまっとうで正しいことのように論じられているし。なんとなく、そっちの方が多数派に見えちゃうこともあるんだよね。

だけど、本当にそれでいいのかな? っては思う。

というか、それで損したくないから、わたしはしれっと「お仕事優先」を選んでみせる。ほんのちょっとの融通で、損しないどころか、思いのほか得できることもあったりするしね。

もちろん、わたしの考えを誰かに押しつけるつもりはないし、わたしはそこまでお節介でもないので、お付き合いを切り捨てて行く人がいても「だよね、わかるわかる」って流して行くんだけど。

そういう意味で、わたしは一見「優しい」かもしれないけど、本当は「冷たい」のかもしれないよね。

 

まー、そんくらい冷たい方がパワハラとか言われず済んでいいんかもね、今の世の中では。

 

と、いうようなことを、今日話題になってるこちらの文章を読んで考えたりしました。

 

note.com

 

一応書いておくけど、パワハラはダメよ。

なにより、せっかく入ってくれた若い人をわざわざ泣かせて追い詰めて、結局辞められちゃうようなのは、組織としては大損だよね。

だから、この新人さんがこのまま仕事を辞めちゃうことは、バカな上長に対しての仕返しにはなるだろう。この組織はこのままじゃダメだと思うよ。

ただね、この新人さんが同窓会のためにせっかくの好きな仕事を棒に振るってのもやりきれないなあって思うんだよね。もうそれですっかり頭いっぱいになっちゃってるみたいだけどさ。

なんというか、残念だなあ、と。