あてもなく

誰かへの手紙

「サンタクロース」と優しい嘘



もうすぐクリスマス。

あちこちで親御さんたちが、それとなくうまいことお子さんの欲しいものを聞き出そうとがんばったり、「サンタって本当にいるの?」との問いに名珍回答を繰り広げたりしている様子がネット上でも散見される。

そんな様子を見ていると、どうしても苦い思い出がよみがえる。

 

あなたのお子さんは、サンタを信じていますか?

あなたの家庭では、子供にサンタを信じさせる活動を行っていますか?

 

2011年12月25日のわたしのTweet。

サンタ失敗。サンタって、お互いの努力と謙虚な気持ちで成り立ってるのよね。何年もうまくいかせるのって難しいことだ。あーあ。。

 

わたしは、子供が8歳の時のクリスマスに大失敗をしてサンタをやめた。

事件の概要をかいつまんで書く。

 

その年、クリスマス前に子供からサンタさんに何もらいたいの?と聞いたら、子供は、その年齢よりもずいぶん対象年齢が低い幼児向けのおもちゃを指名した。

「それはないでしょ」と思ったわたしはそのおもちゃではなく子供の年齢にふさわしいアイテムを独断で数点用意してサンタからのプレゼントとした。

クリスマス当日の朝目覚めてそのプレゼントを受け取った子供は、欲しかったものをもらえなかった事にひどいショックを受けて打ちのめされ、その後ひどく荒れて、泣きながらサンタに対して暴言を叫び始めた。

子供は、サンタに希望を叶えてもらえなかったことがショックだった。

どんな子でもみんなサンタから欲しいものをもらえるはずなのに、どうして自分だけは願いを聞いてもらえなかったの、と、まあ、自分は神にも見放された惨めな子だ、ぐらいの傷つきようだったのだ。

 

そのときにね、わたし、もうこりゃどうしようもないな、と思ってカミングアウトしちゃったんですよ。

 

「ごめんね。そのプレゼントを用意したのはお母さんだよ。サンタさんのせいじゃないよ。お母さんが悪いの、ほんとごめんね」

 

と。

神にも近い存在であるサンタに見捨てられたと感じるよりは、タダの人間である母が失敗したと知る方が、ショックは小さくなるのではないかと思ったのだ。

しかしこの方法では「元々サンタなんていなかった」というさらに衝撃の事実を突きつけることになってしまう。

その点を迷わないではなかったが、同時に、これ以上ごまかしきれないとも思ったのだ。

 

で、どうなったかって?

結果。

さらに荒れました……。

 

なにそれ、サンタ自体がウソってこと?

ていうか、今、それを言う?

ひどくない?

最低!

 

みたいな。

どうやって落ち着きを取り戻したのかは覚えていない。

 

子供はもう高校生だけど、今でもそのときのことは覚えているそうだ。

そして、この件に関しては「お母さんはド下手クソ」と散々にこきおろされます。

わたしも、大失敗だったと思う。

 

思えば、ウチの子は、サンタがプレゼントを持ってくるというファンタジー設定がとても好きだった。

プレゼントを見つけた時の喜びようといったら、ちょっと「微笑ましい」の範疇を超えるぐらい激しくて、なんだか心配になるぐらいだった。

 

ある年のクリスマスなんて、まだ当時親子同室で寝ていたんだけど、早朝枕元にプレゼントを見つけると、子供はプレゼントを掴んで奇声を発しながらいきなり走り出した。

そのときに、隣で眠っていたわたしの喉と胸を思い切り踏みつけて行ったのだ。

わたしはしばらく息が出来なくて、本気で死ぬかと思ったほどだ。

普段はね、おとなしくてどっちかというと物静かな子なんですよ。だから、そのギャップが恐かった。

 

そんな年が何年か続いて、例の事件の1年前のわたしのTweet。

思えば、この時点ですでに暗雲が立ちこめていたのだなーと思う。 

 

2010年11月3日

子供が最近、科学的にサンタクロースを理解しようとし始めてて困る。「サンタはいる」ことを前提に色々煮詰まった質問をぶつけてくるのでどうしたらいいのか。あんまり色んな説を捏造すると、やさしいウソがだんだん悪質なウソになりそうでこわい。まあ5年後には笑い話なのでしょうが。

 

わたしは元々、子供にサンタを信じさせるためにわけのわからないウソをつくことに全然納得がいっていなかった。

その上で、子供のファンタジー設定への激しい執着。

わたしはちょっと「サンタって恐い」と思いはじめていた。

前の年の時点で既に、あと一押しで決壊してしまう感じだったんですな。


感受性が強すぎる子供にはサンタクロースファンタジーは刺激が強すぎた、っていう話かもしれないし、わたしが短気すぎたのかもしれないし、そんなに欲しいものなら対象年齢なんかどうでもいいから買ってやればよかったってだけかもしれないし、今でも正解はよくわからん。

 

サンタ・カミングアウト関連で検索してみると、こんな記事が出てきた。

 

benesse.jp

 

つまり、小さい頃はサンタクロースという神秘的な存在を信じていたのに、いろいろな経験を経てだんだんその矛盾に気づくようになるわけです。
でも、一気に信じなくなるのではなく、しばらく半信半疑の状態が続きます。

 

私は、この状態の中で子ども自身が少しずつ真実を受け入れて、軟着陸できるようにしてあげることが大事だと思います。
というのも、何も準備ができていないところで、いきなり真実を知るのは子どもにとっては衝撃的なことだからです。

 

大人は、「たかがサンタクロースのことで」と思うかも知れません。
でも、子どもの立場に立てば、それまで信じ切っていたことが何の前触れもなく、いきなりすべてウソだったとわかるのは大きなショックです。

 

子どもによっては、非常に大きな悲しみや怒りの感情を経験することもあります。
そして、それが親に対する不信感に発展してしまう可能性すらあります。
というのも、「今までずっとだまされていたんだ」と感じて、だまし続けてきた親が急に信じられなくなるからです。

 

わたしはわりと前から、この教育評論家・親野智可等氏の書くことが好きなんだけどね。

ここに書かれている通り、わたしも本当はこんな風に軟着陸できれば良かったのになあ……と思う。

少し前から「ちょっと、ウチの子にサンタは危ないかもな」と感じていたのなら、もっと軟着陸に向けて、準備できることがあったのではないか、という後悔がある。

 

ただ、サンタ絡みではこんなひどい大事故を起こしてしまった我ら母子ではあるけれど、他にも一緒にたくさんの困難を乗り越えて、今では、信頼関係をきちんと構築してきたと言えるぐらいには成長したと思う。

 

だから、大丈夫なのだ、きっと。

出来れば事故なんて起きない方が良いけれど、もし何かあっても、親として子供に真摯に向き合っていれば、挽回のチャンスはきっとある。

 

いや、全然励ましになんないかもしれないけどさw

そんなメルヘンがド下手クソな母さんの思い出話でした。