あてもなく

誰かへの手紙

何事にもコアなファンというものがいるのだなあ



昨日、パンダを観る列に並んでいて発見したこと。

 

わたしたちの後ろに並んでる女性二人組が、かなりのコアな追っかけで面白かった。

 

シャンシャンが実際に展示されているスペースの手前に、パンダの展示用の個室が3つある。その日は屋外展示の日だったので個室は使われておらず、代わりに餌用と思われる笹が大量に積んであった。

その中で、笹の仕分け作業をしている様子の飼育員さん。

彼女らは、その飼育員さんの名前や特徴を把握しているらしいのだ。

飼育員さんを確認すると、早速後ろの女子二人が

「あっ、今日は○○お兄さんだ」

「あっちは○○お姉さんだね」

などとささやきはじめた。

あまり内容はハッキリと聞こえないが、飼育員さんを「お兄さん」「お姉さん」と呼ぶのは、なんとなく「おかあさんといっしょ」のようで面白い。

お兄さん・お姉さんによって餌やりのクセがあるらしく、餌の出し方によってパンダの見やすさが微妙に変わるみたいな話をしている。

その日の担当は女子二人組のお気に召さないようで、

「えーっ、最悪じゃん」

「ついてないね」

などとひとしきり盛り上がっていた。

後から展示されているパンダを見てみたけれど、今日たまたま来ただけのわたしには、何が「最悪」なのかよくわからない。

シャンシャンもリーリーも大変機嫌良さそうに笹を食べていた。

 

そういえば、会話の中で、ひときわよく聞かれるのが「シャン」という単語だ。

どうやら、シャンシャンのことを「シャン」と呼ぶのがツウのたしなみのようだ。

なかなか味わい深い。

 

もうひとつ。

午後、帰り際にパンダ舎の前を通ったら列が比較的短かそうに見えたので、わたしたちはもう一度並んでパンダを見て行くことにした。

その、二度目の待機列の途中でメモ帳とボールペンの落とし物を拾った。

チラシを小さく切ってゴム紐で束ねてある手作りのメモ帳で、中には日時・気候などの記録と共にパンダの様子が簡単に一言二言記録してある。

そのメモ、数日前から毎日記録があって、拾ったその日も2時間前に一度パンダを見たらしき記録があった。

この人、毎日やってきて、同じ日のウチに何度も並んでは観察記録を残しているようなのだ。

 

メモ帳は、裏の白いチラシを定規で丁寧に破ったような感じで作られていた。パンチで穴を開けてゴム紐を通して小さく結んで束ねてある。

今時の若い人はそんなことをしない。

おそらく落とし主は年配の方なんじゃないかと思われた。字の感じもなんとなく年季が入ってたしね。

メモには落とした人の名前などがわかる情報はなく、観察記の中身にもそれほどびっくりするようなことは書かれていなかったが、ひとつ面白いことがわかった。

 

この人もメモの中で「シャンシャン」のことを「シャン」と表記しているのだ!

 

さっき耳にした会話でシャンシャンを「シャン」と呼んでいた女性はおそらく20代ぐらいの若い二人組だった。

一方で、どうも年寄りくさいメモ主の推定おじいさん(おばあさん?)にとってもシャンシャンは「シャン」なのだ。

世代を超えて、ファンの心はつながっているのだなあと感心した次第である。

 

メモ帳の落とし主はきっとまたパンダの待ち行列に戻ってくると思ったので、行列を整理しているガードマンの方に託そうとしたのだが、「落とし物はインフォメーションへお願いします」と断られてしまった。

そんなことなら、拾ってしまうよりその場に落としておいた方がよかったのかもしれない……と思ったけれど、わたしたちが拾う前に既に何人かには踏まれてしまっていたようだったし、放っておくのも忍びない。

拾った場所からもずいぶん離れてしまったことだし、結局言われるままインフォメーションに届けることにした。

無事、持ち主の手に戻っていることを祈る。