あてもなく

誰かへの手紙

ワセリンまたはプロペトとの戦い どこにも書かれていない掃除と洗濯のこと(2)

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今日はワセリンが付着した衣類の洗濯についてのお話をします。

 

ワセリンの存在を明確に意識したのは、乾燥機能付き洗濯機を購入した時のこと。

乾燥済みの衣類を洗濯槽から取り出してみたら、当該家族の下着がとんでもないベッタベタ状態で出てきたんです。

洗濯したのに!?なんで!?

と混乱したのですが、すぐわかりました。

これ、ワセリンが熱で溶けて出てきたんだな、って。

前回の記事で引用した文章に記載がありましたが、ワセリンは「常温では固体で、38 ~ 60℃くらいで溶ける」のです。

洗濯乾燥機は60~80℃ぐらいの熱風で衣類を乾かすものなので、ワセリンが溶け出すには十分な温度です。

 

洗濯物がベッタベタになって出てくるのは大変マズいので、それ以来乾燥機能はほとんど使わなくなってしまいました。 

といってもこの件、悪いのは乾燥機ではありません。たまたま乾燥機の熱風によってベッタベタが露見しただけで、乾燥機を使おうが使うまいが衣類自体に大量のワセリンが染みついているという事実に違いはありません。

1日着たらすぐに洗濯をして清潔にしているつもりだったけど、実際にはワセリンは衣類に付着したままだということがわかりました。

 

ワセリンは通常の洗濯では落ちないようです。落ちないまま衣類に付着し、日々どんどん蓄積されていく。それは乾燥機ベッタベタ事件が起きる前からなんとなーく感じていたことではありました。

ワセリンが蓄積した衣類はどういう状態になるかというと、どんなに晴れた日に1日中外干しをしても、なんとなくジメっとベタっとした手触りでちょっと冷たい感じにしか仕上がらなくなってしまうのです。

ワセリンによってコーティングされ、洗濯しても繊維本来のふんわり感が戻らなくなってしまう。それがワセリンがしみついた布の状態です。

「肌に優しい洗剤」という観点は必要なのか? 

皮膚疾患に関連して洗濯洗剤の選び方について述べられているサイトはたくさんありますし、対応した商品もそれなりにあります。

ただ、そういった情報のほとんどが、洗剤の液の性質そのものが皮膚に優しいかどうかということをメインに扱っていて、対ワセリンということに関しては情報はほとんどありません。

一般的に、肌に優しい系の洗剤は基本的な汚れ落ち性能がイマイチなわりにお高めだったりします。

また、粉せっけん洗濯もしばしば推奨されているのでわたしも挑戦したこともありましたが、手間がかかる割に、目に見えて皮膚が良くなる様子もないので、何年かやってやめてしまいました。

 

色んな考えはあると思いますが、洗剤の成分がどういうものであっても、すすぎの段階できちんと落としてしまえるのであれば、洗剤そのものが皮膚に対して優しいかどうかはあまり関係ないのではないか、とわたしは思います。

それは「洗濯物を大量に詰め込みすぎない」「しっかりすすぎをする」というごく普通の対応でほぼ程度クリアできます。

むしろ、皮膚への影響を考えるならば、ワセリン汚れが蓄積された衣類そのものが、皮膚にとってはあまり良くないように思えます。

まず、触った感じからして着心地がよくないし、干してもなんとなくジメっとしていて時間とともにだんだん嫌な臭いがするようになってくるので、多分何らかの細菌が繁殖しやすい環境になっているような気がするのです。

ワセリンが蓄積した衣類というのは繊維の表面がコーティングされてしまっているわけですから、衣類本来の吸湿性通気性が失われてしまっている可能性があり、それも皮膚にとっては良くないと思います。 

だから、洗剤そのものが皮膚に優しいとか化学物質の刺激がどうのこうのよりも、とにかく、ワセリンが落ちる洗剤が欲しいと思ったのです。

ついにみつけた、ワセリン汚れが落ちる洗剤

試行錯誤の結果たどり着いたのが、作業着用洗剤です。

ヒントは「ワセリンは石油から作られる」という事実でした。

作業着用洗剤のパッケージには「機械油汚れに強い!」と大書されています。機械油だって多分石油から作られているものでしょうから、その汚れに強い洗剤ならワセリンにだって効き目があるかもしれません。

そう思い立ったのが、今から半年ほど前のこと。

やってみた結果はなかなか上々なものでした。

 

さすがの作業着用洗剤も、長期にわたって蓄積されたワセリン汚れを落とすほどの 力はありませんでしたが、新しく買い直した下着を作業着用洗剤で洗っていると、ワセリンの蓄積される速度が以前よりずいぶん緩やかになっていることが実感できます。

作業着用洗剤でも100%ワセリンを落としきることはできませんが、普通の洗剤で洗っていた頃に比べれば、洗濯後に肌着本来のふわっとした優しい触感が復活する時期が長く続きます。

 

「作業着用」というとなんとなくゴワっと荒々しい感じに仕上がりそうなイメージがありますが、そんなことはありませんよ。他の家族みんなが使うバスタオルなんかも一緒に洗いますが、以前の洗剤と比べて固くなったとか思ったことは一切ありません。家族から苦情が出たこともありません。

 

WORKERS 作業着専用洗い 液体洗剤 本体 800ml (油汚れ用)

 

うちで使っている作業着用洗剤はこちらです。

当分お世話になると思います。

「試行錯誤」の中身と教訓

ワセリンを落とす洗濯についてはネットでも多少情報が出てきました。自分にも出来そうなものからいろいろ試したりしてみましたが、イマイチなものが多かったですよ。

結論は前段ですでに出ていますが、ご参考までに蛇足ながら一応書いておきます。

 

  • セスキ炭酸ソーダ

セスキ炭酸ソーダでワセリンが落ちるって書いてあるサイト、実際あるんですけどね。

これ、絶対やめといたほうがいいですよ。

「セスキ炭酸ソーダでワセリン汚れが落ちる」というのは、ワセリンとセスキ炭酸ソーダが結びつくと化学反応で水に溶けやすい物質に変化するという理屈のもとに書かれたのでしょうが、元になるワセリンが大量だと飽和状態になってしまって化学反応が中途半端にしか進まないのだと思います。

洗濯機をあけてみると、ワセリンとセスキ炭酸ソーダの化学変化のなれの果てとして精製された物質が粘土状の白っぽいベタベタした粒となって洗濯物全体に付着していました。

この粘土状のベタベタったら、何回すすぎ直しても全然落ちないし。

水道水を大量に消費した挙句、最後はどうにもならなくなって泣く泣く肌着ごと捨てました。

  • わりと高価で強烈に手順がめんどい洗剤

ワセリンを落とす洗剤、って検索すると真っ先に出てくるちょっと胡散臭い(失礼)洗剤屋さんのサイトがあります。

この洗剤、普通に洗濯機で使う洗剤とは使用方法も違います。

ざっくり言うと、やかんなどで沸かしたお湯を大型の発泡スチロールボックス(鮮魚の運搬とかに使うやつ)に張り、その中に洗いたい衣類とその洗剤を入れて12時間漬け込む、というもの。保温ボックスのサイズにもよりますが、たぶん1回で洗える量は下着上下せいぜい3~4着ぐらい?

そりゃ落ちるかもしんないけど、まず発泡スチロールボックスを手に入れなきゃいけないし、大きな容器を満たすだけのお湯を沸かすには相当な手間がかかります。

洗剤自体もなかなか高価です。

ユニクロで2枚で990円とかで買えるような下着にそこまでする?

そりゃ、あまり頻繁に買い換えるのは抵抗があるにしても、その洗剤を買うコストと手間を考えるとシャツを使い捨てにした方がマシなのではと思います。

  • お湯で洗う

高価な洗剤を使うかはともかく、ワセリンが溶ける温度以上のお湯で洗えば水で洗うより格段に汚れは落ちやすいに決まってますよね。

まあ、たしかにそうなのですが、それですら、日常的に続けるには負担が大きいと感じます。普通の洗濯機にはヒーターなんかついていないので、お湯で洗濯するにはどこかからお湯を運んでこなければなりません。一応おふろの残り湯を使えるポンプもありますが、通常のお風呂のお湯はわかしたてでも40℃前後。ポンプで吸って洗濯物と混ぜてるうちにあっという間に温度が下がると思います。ワセリンをどうこうできる温度ではないですよね。洗濯をするためにお風呂にお湯をはるコストもバカになりません。

 

ワセリン汚れを落としたいという目的を至上とするのであれば、もう少しやりようはあるかもしれません。

しかし、その手段が一般的な家事レベルよりはるかに負担の大きいものだとしたら、それは現実問題として、日常的に継続することが難しくなります。

 

そういう意味で、やはり作業着用洗剤は優秀だと思います。

ワセリン落とし力はせいぜい60点ぐらいですが、普段の洗濯と同じように洗濯機に洗いたいものを投入してスイッチを入れるだけで良いし、洗剤自体のお値段も一般的な洗濯用洗剤と大体同じようなものですからね。

持続可能という意味では、これ以上はないのではないかと思います。