あてもなく

誰かへの手紙

ベランダピクニックの夢と現実 5月の風にだまされるな!

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春から初夏へと向かう季節になりました。

今の時期、ベランダに出ると空気の感じがとても気持ち良いです。

あたたかいをすっかり通り越して暑いぐらいなので、用事なんかでせっせと外を歩くと少々汗をかいて疲れるほどですが、ベランダで洗濯物を干すぐらいならちょうど良いぐらいの気温です。

湿度もほどよくて、このままずっとベランダで過ごしていたい!という気持ちになります。

そうだ、ベランダでピクニックしよう

まだ子供が小さくて家にいた頃ですが、同じように最高の気候条件が揃ったある日、テンションの上がったわたしは「そうだ、今日のお昼はベランダでピクニックにしよう!」と思い立ちました。

レジャーシートを敷いて、お外でお昼を食べるのです。

そういえば、大分前に買ってあった「簡単にパンが焼けるキット」みたいなのが家にあったので、まずは子供と一緒に手作りのパンを焼いてみよう!と素敵アイデアが炸裂します。焼きたてパンをベランダに持ちだしてきゃっきゃうふふと二人で食べるのです。

文字に起こしてみると、いかにも素敵な大作戦のようではありませんか。

何の死角もないように思えます。

ところが、実際に行動に移して見たところ、それは死角だらけの大作戦でした。

 

  • 東向きのベランダは、正午過ぎると完全に日陰になる。
  • レジャーシートを敷いて座ると、ベランダの床は固くて冷たい。
  • 目線を落とすと、ベランダの汚れがめっちゃ目に付く。
  • クルマや通行人の騒音が気になる。

 

特にコレといった掃除をすることもなく、ただベランダに直にレジャーシートを敷きます。そして、その上に直接お皿とコップを置いて食事開始。

いや、さすがに床が固いし冷たいねということになり、部屋から座布団とか持ってきてその上に座ってモソモソとパンを食べるわけですが、その時点で「なんかちがう」感満載です。

ただの思いつきで始めたイベントなので、友達なんか呼んでないし子供と二人きりです。子供はまだ会話もおぼつかない年頃だったので、二人きりだとなんだかシーンとしちゃう。

パンを焼くだけで精一杯だったので他に気の利いたおかずなんかあるはずもなく、飲み物も冷蔵庫で冷やしてあったいつものお茶です。

途中で足りない物を思い出してはちょこちょこ中座して部屋に取りに戻るというのもなんだか興ざめです。

とにかく、寂しい!不便!貧乏くさい!

 

というわけで、大失敗のベランダピクニックはある種の黒歴史なわけですが、当時まだ言葉もちゃんと話せなかった子供が、大きくなってもその時のことをほんのり覚えていて、

「ベランダでパン食べたことあるよね」

「あんまり楽しくなかったけど、アレって何だったの?」

などと古傷をえぐってきます。

 

素敵なベランダピクニックを実現するには、相当な準備と対策が必要だと思われます。ズボラなわたしにはどだい無理なレジャーであったということです。

 

ベランダで読書とか気持ち良さそうじゃない?

それよりさらに遡って新婚時代。

まだ子供ができる前に暮らした借家(マンション)でも、わたしは気持ちの良い季候の日にテンションが上がってベランダでひとときを過ごす作戦を試みたことがありました。

そのときは、ダイニングの椅子をベランダに持ち出して、読書をしようと思ったのです。その家は南向きで昼中ずっと日当たりが良く、洗濯物が良く乾くベランダだったのでお気に入りでした。

家事を終えて午後のひととき、気持ちの良いベランダで読書なんて、素敵な奥さん感満載で何の死角もないように思えました。

しかし、ベランダ読書は、ものの10分で終了となりました。

 

  • 南向きのベランダには常に直射日光が当たる。
  • 日光が直接当たるとまぶしいのに影は濃すぎて目がしんどい。ゆえに、読書が全然はかどらない。
  • 部屋は2階なので、通行人からベランダが丸見えで落ち着かない。

 

ただ椅子を持ち出しただけでは、読書が出来るような素敵なベランダは実現しないのです。

 

もうだまされないぜ

今日、久々に最高の気候条件が揃った(ように思える)ベランダに出て、テンションが上がったわたしは、性懲りも無く「今日はベランダでお昼食べたいなあ!」と思ってしまったわけですが、これは、悪魔のささやきです。

今日なんて、家にはわたし一人きりだし、手軽に外に持ち出せる食事なんてカップ麺ぐらいしかありません。

さっき干した洗濯物満載のベランダに椅子だけ持ち出してカップ麺なんか食べたら、絶対にわびしい気持ちになること間違いなしです。絶対にだまされてはならぬのです。部屋でテレビ見ながらおとなしく昨日の残り物でも食ってろなのです。

 

5月の晴れの日のさわやかな風には、ズボラ主婦の心をも狂わせるような、何か妖しい成分が溶け込んでいるに違いありません。

あぶないあぶない。