家事は家族みんなでやること、分担して当たり前、というのが最近の流れのように見受けられますが、それってとても難しいことだと最近思うようになりました。
それは、パート先で業務として事務所内の家事的な仕事をほかの従業員と分担することを経験したからです。
今まで、わたしは自分が家庭の主婦として自宅の家事の一切を取り仕切ってきました。掃除も料理もそれほど得意ではないわたしでも20年ほどやっていれば大体のことはサッサと済ませられるようになっています。少なくとも、家の中ではわたし以上に上手に家事をこなせる人はいません。(まあ、あと家にいるのは夫と子供だけなんですけど)
そんなわたしが、小さな事務所に就職をしました。そこの事務所では、家事のような仕事も全部従業員がすることになっていました。それらの仕事を中心になって取り仕切っていたのは、10年近くそこで働いているパートの女性でした。
家事のような仕事とは、具体的にはキッチンやトイレ・洗面所の掃除、ゴミ出し、洗剤などの消耗品類の補充や買物...などの仕事です。
それから毎日1回事務所のフロア全体に掃除機をかけるのも当番制でみんなでやっていましたっけ。
わたしも主婦の端くれなので、そんなのはお安いご用だと思っていました。ところがそれは甘い考えでした。それらの仕事は、自分の感覚でただなんとなくやるだけでは不合格なのです。
中心で取り仕切っているパート女性の気に入るようにやらないと、後から怒られたり、ただ黙って不機嫌になられたりするのでした。
わたしが掃除機掛けをした日に、後からホコリが残ってる場所が見つかったらしく、彼女、わたしに直接言わずにフンと鼻を鳴らして掃除機を取りに行くと、なかなかの勢いでガーガーとかけ直しを始めました。
その時はわたし、かなり立場がない感じでしたねえ。
これって、世の中で見られる「奥さんが気に入るようにやらないと怒られる夫」という図式と全く同じなんですよ。
最近のパパたちは、私たちの親世代に比べると、家事・育児に積極的な男性がとても増えていると思います。まったく家事も育児も妻に任せているという男性のほうが珍しいくらいですよね。それなのに、なぜか妻たちの夫に対する「家事・育児」の評価は低い。私の周りでも、そのことで自分の夫にイライラしているママたちは多いです。
それには、女性ならではの2つの特徴が関係しているように思います。
[1]女性は、身の回りのものを注意深く見て、細かい変化にもよく気がつく
[2]女性は常に最悪の事態を想定して、先々まで予測して行動を決める
ここではこんな風に説明されているのですが、わたし、性別による違いなんてあまり関係ないと思うんです。
だって、女性同士であってもやっぱり怒る人・怒られる人という関係性はできあがってしまうんですから。
リンク先の文章で妻が夫をどのように罵っているかが克明に描かれていますが、言い方は、まさにわたしが例のパート先で受けた叱責と同じようなものです。そんなやりとりが家の中で行われているとしたら、人は一体どこで安らぎを感じれば良いのか。
ちょっとした絶望感すら感じてしまいました。
家族が協力して仲良く暮らしたいはずの家の中で、なぜそういうことになってしまうのでしょうか。ちょっと考えてみました。
最初に家事の流れを作り上げた人=ぬし(主)が「当たり前」と思っている家事は、他の人にとっては当たり前なんかじゃなくて、かなり複雑なルールの上に成り立っているものです。でも、そのルールは明文化されたものではなく、ぬしの頭の中だけにある。
まだ、わからない人にはいちいち教えてあげようという感じの人ならまだいいですが、ぬしが「いちいち聞かないで自発的にやってちょうだいよ簡単なことなんだから」、というスタンスだと、どうすれば良いか事細かに質問するだけでもイラつかれます。
だから、後からその家事を分担することになった人は、誰にも聞けず、ルールがわからないまま手探りでゲームに参加することになります。
そんなの、もう最初から負けることがわかってるようなもんじゃないでしょうか。
一番いいのは「分担する人全員が同じレベルでルールを共有し、理解すること」でしょう。だけど、大抵のぬしは自分がぬしであることやルールを内緒にしているという自覚がないので、他のメンバーと同じスタートラインに立つことすら困難なのです。
では、どうすればいいのか。
「だったら自分でやれ」
そう言うと逆ギレと言われるかもしれませんが、わたし、これが最高の答えだと思うんですよ。ぬしがひとりで自分の好きなようにやればいい、ということです。
それが一番効率が良いしトラブルも少ない。
でも、家事を一人で全部やるって大変ですよね。
だから、他の業務を減らして、家事に専念するのです。
それぐらい、家事は大事な仕事です。そんな重たい仕事を、本業の片手間で解決しようとするから、担当者はイライラするのです。
それを踏まえて家事分担を見直してみると、何か改善の糸口が見つかるかもしれません。
わたし、自分が怒られる立場になるのももちろん嫌ですけど、自分が「ぬし」みたいになって周りにイライラを振りまくのもすごく嫌です。
だから、家族に何か家事を手伝ってほしいなどとは一切考えないようにしています。
その代わり、外で働くことは最低限にしています。外での仕事が立て込んだり、ストレスになると思ったら、外での仕事の方を切ります。
自分にとっては、家庭内が安定していることが一番だからです。