あてもなく

誰かへの手紙



「電子マネー」とはちょっと違う、プリペイド式クレジットカードについて

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今日はプリペイド式クレジットカードの話をします。

 

電子マネーのことを調べていると、電子マネー一覧の中に「au wallet」というカードの紹介が掲載されていることが多いです。参考までにauの公式サイトを確認してみると、au自体がau walletカードのことを「電子マネー」と名乗っていますしね。

しかし、au walletは厳密な意味ではチャージ式プリペイドクレジットカードというジャンルになると思います。(以下、本文では単に「プリペイドカード」と表記します)

おそらくまだこのジャンルは言葉の定義がハッキリしていないんでしょうね。

当ブログでは、ICカードで非接触決済ができるものだけを「電子マネー」と呼ぶことにしているので、au walletカードはプリペイドカードです。

プリペイドカードは最近現れた仕組みで、先日こちらで触れたデビットカードとも少し似ているのですが、旧来からあるクレジットカードのインフラの上で走る、新しい解釈のクレジットカードといっていいと思います。

 

<プリペイドカードの例>

MasterCard系

au walletカード、dカードプリペイド(NTTdocomo)

VISA系

ソフトバンクカードが代表格。

その他各種ショップのポイントカードに相乗りしてたりします。

わたしはドラッグストア「ココカラファイン」グループのココカラクラブカードを持っていますが、こちらもVISAのプリペイドカード機能がついています。

JCB系

LINE payが代表格。

ほかに、ローソンのPontaカードにプリペイド機能がついてるやつがあります。 

 

これらのプリペイドカードは、お店で使うときは普通のクレジットカードと同じ扱いになります。店員さんにカードを手渡し、店員さんはクレジットカード決済と全く同じようにレジ操作をします。

お店によっては、普通のクレジットカードと同じようにサインや暗証番号を求められたりします。

ネットショッピングでは普通に16桁のカード番号・有効期限・氏名・裏面のセキュリティコードなどを入力して、通常のクレジットカードと同じように使えます。

(ただし、公共料金の月次支払い用のカードとしては登録できません。未来にわたっては残高が担保できないからですね)

 

チャージの方法は主に、アプリ操作で行うものが多いです。

そして、実際の支払い方法は、

  • (携帯電話系プリペイドカードの場合)電話料金とまとめて請求
  • 別のクレジットカード情報を登録しておきカードに請求
  • 銀行口座を登録しておき、口座引き落とし

など。

また、提携している店舗で現金をわたしてチャージしてもらえるカードもあるようです。

 

プリペイドカードなら、万一カード情報が漏洩しても悪用の被害はチャージした金額の中に収まるものなので、少額のお買い物にクレジットカードを使うのに抵抗がある人でも気軽に使いやすいカードと言えるかもしれません。

口座残高に直結しているデビットカードよりはよほど安心なカードだと言って間違いないと思います。

 

さて、ここからはクレジットカードマニアとして個人的に思ったことを書きますので長くなります。

クレジット=Creditとは、「信用」のこと

そもそも、クレジットカードとは「立替払い」の仕組みです。

お店でお客さんがカードを切ると、クレジットカード会社は、お店に対してお客さんが今支払うべきお金を、お客に代わって立替払いをします。

立替払いは即時行われる訳ではなくて、月に1~数回ある締日ごとに集計された金額が後日お店の口座にまとめて支払われる仕組みなので、店頭のクレジット端末でカードを切るという処理をして成立するのは「立替払いの約束」です。

そこには、お店とクレジットカード会社との間の信用、クレジットカード会社とお客さんとの間の信用という二重の信用の構造があります。

お店は、そのクレジットカード会社が後日必ずお金を入金してくれることを信じてお客さんに商品を渡します。

クレジットカード会社は、お店がお客さんが満足する商品を確実に渡したということを信じ、なおかつ、お客さんが商品の代金を後日必ずクレジットカード会社に支払ってくれることを信じて、お客さんの代わりにお店にお金を払います。

お客さんがクレジットカード会社に対する信用を裏切って借金を踏み倒しても、基本的にお店は損をしません。決まった期日に立替金はお店の口座に入ります。それがお店とクレジットカード会社間の「信用」であり「約束」です。

お客さんからお金の回収をすること、お客さんがちゃんと払えるように時には親身になって協力すること、お客さんがより便利に支払えるような仕組みを考えること、最後は踏み倒されるリスクを負うこと、これらはクレジットカード会社の仕事です。

お店がカード会社に対して払う「加盟店手数料」の中には、その手間賃も含まれているといっていいと思います。

もし、お店が自前で掛け売り(いわゆるツケ払い)をしようとすると、回収=取り立てという最も嫌な仕事を自分でしなきゃいけません。そこをカード会社に丸投げにして、今手持ちがないお客さんにも商品を売ることができる。これが、高い手数料を払ってでもお店がクレジットカードを導入するメリットです。

デビットカードとプリペイドカードは「クレジット」カードか?

審査に基づいて、お客さんが商品の代金を後日必ずクレジットカード会社に支払ってくれることを信じることを与信といいます。

お客さんの支払い能力を見極めてカードを発行し、もしその見込みが外れたときにはリスクを負うというのがカード会社の仕事ですが、お客さんがちゃんと支払える人かどうか審査をせずにカードの発行ができ、しかも絶対に踏み倒されることがないのがデビットカードとプリペイドカードです。

デビットカードは直接銀行口座の残高データを読み取って、今回のお買い物の支払金額分即座に差し押さえてお店に立替払いを約束します。

プリペイドカードは事前にお客さんが「チャージ」という形でカード会社に送金したお金を差し押さえてお店に立替払いを約束します。

(どちらも、口座残高・チャージ残高を超えた金額の買い物をしようとするとレジ上でエラーが出るようになっています)

このように、お客さんとクレジットカード会社との関係が信用ではなく現金に基づいたものであることが、従来のクレジットカードとの大きな違いです。

お店とクレジットカード会社の間の関係は従来と変わらないので、お店はデビットカードだろうがプリペイドカードだろうが気にすることなく、すべて従来型のクレジットカードを切るのと同じ処理をすることができます。

カード会社がどういう形でお客さんからお金を回収するのか、お客さんがどういう形でカード会社に返済するのかはお店には一切関係のないことですから、お店の立場からすればデビットカードもプリペイドカードもクレジットカードと言っていいでしょう。

ただ、お客さんとカード会社の関係から言えば、デビットカードやプリペイドカードはクレジットカードとは言えません。

お店からいただく加盟店手数料はそのままなのに、与信審査や回収の部分でラクができるのがデビットカードやプリペイドカードです。この仕組み、クレジットカード会社にとってのメリットばかりが大きいようにわたしには思えて、あまり好きじゃないんですよね…。

 

先日デビットカードの時にも書きましたが、この手の新型カードは何事もなく平和に決済が行われ商品やサービスがお客さんに渡れば便利なものですが、そうでない場合、普通のクレジットカード以上にお店やお客さん心配と負担がかかることにもなりえますので注意が必要です。

 

CM等で「便利便利」と謳っていますが、いろんな種類のカードが出回りすぎて現場は混乱しています。お客さんから「プリペイドカード使えますか?」と聞かれて店員さんが「使えません」と言ってしまったり、不安になった店員さんがカード会社に問い合わせてもカード会社側の担当者の知識不足で誤った回答をしてしまったり(!)という事態も散見されました。

 

というわけで、わたしが誰かから「プリペイドってどう?」「デビットって便利かな?」などと相談を受けとしたら、

「面倒なことに巻き込まれたくなかったら、普通のクレジットカードの方がよほど便利で安心ですよ」

と言ってしまうと思います。

その人が、特にカードを持てない事情がないのであれば、ですが。

 

デビットについて書いた過去記事はこちら。

www.atemonaku.com