あてもなく

誰かへの手紙



続・カードを使いたくない理由 現金派の人にデビットカードをおすすめするのは間違っている

 

f:id:atemonaku:20180422174527j:plain

クレジットカード業界で働いたことがある者として、「キャッシュレス」関係の話題はいつもなんとなく気になります。

 

昨日、たまたまこういう記事を読んだのでちょっといろいろ考えてしまいました。

uni-fic.com

 

キャッシュレス派の人が書く文章を読むと、大体、現金派の人が現金を使う理由の第一は「使った瞬間にお金が物理的に減るのが見えること」であろうと想像してそれに基づいて論が展開されています。

上記の文章もそうで、その推測を元に「使った瞬間に口座からお金が消えるデビットカードなら現金とほとんど同じだから、現金派の人でも安心して使えるのではないか」と書かれています。

 

しかし、この話ってそもそも、現金派の人が現金派である理由を誤解しているから平行線になっちゃうんじゃないかなーっていつも思うんですよ。

 

先日、わたしもこういう記事を書きましたが、

www.atemonaku.com

 

この中でも触れている通り、わたしは、現金派の人が現金派である理由の第一は「不特定の場所でむやみに個人情報を晒したくない」だと考えています。

クレジットカードは高度な個人情報の塊です。数百円程度の決済でホイホイ出したくない。それが現金派の人の気持ちだとわたしは思います。

 

最近は、いくら現金派といってもクレジットカードを1枚も持たないという人は少ないと思います。ただ、クレジットカードは百貨店など信頼のおける限られた場所で、一定以上の金額のものを買う時だけ使う。それ以外は現金で。というのが一般的な「現金派」の姿ではないでしょうか。

カード会社で働いた経験から考えると、「カードは信頼できる店だけで使う」という感覚は非常に正しい感覚だと思います。

 

商品を買って、正しい金額で決済をして、すぐに持ち帰って、消費して、満足。

こういう当たり前のやり取りが平和に行われるのであれば、支払い方法はどんなものであっても大差ありません。

ただ、「レジの打ち間違いで金額がおかしい」「購入したものに不備があった」「返品、交換したい」などの出来事があった場合、現金で購入したのであればレシートを持ってお店に行けばお店の人とのやり取りだけで解決できますが、カード決済をしていた場合には、客と店の間のやり取りの他に、店とカード会社との間でやり取りが発生するのです。

「1,000円の買い物なのに、ゼロ1個多く打っちゃって10,000円で決済されてしまい、お客も気づかずにサインしちゃった」みたいなミスも、現金だったらありえないですがカードだとわりと普通にありえます。

 

そんな問題が発覚した時、どれだけお客に迷惑や心配をかけないで迅速に対応できるか、という点において、カードの仕組みに精通した会計担当者が対応に当たる百貨店と、カードに関してはほぼ素人の店主が日々の接客の合間に対応する小さなお店とでは、非常に大きな差が出ます。(まあ実際には百貨店の担当者もピンキリですけど、お客に不安を与えない丁寧な対応という意味では百貨店にはそれなりのノウハウがある気がする)

トラブル対応の報告・連絡のために、お店側から「お客様の氏名・電話番号を教えてください」なんて言われることもあるでしょう。そういう可能性も含んだ上で、自分の個人情報を守るために、カードを切るのはある程度信頼のおける限られた店だけにしておくというのは正しい身の守り方のように思えます。

 

さて、まだ普通のクレジットカードであれば、決済から実際の引き落としまでに最短でも半月程度のラグがあるので、上記のようなトラブルあって少々手続きに手間取っても、お客の口座から間違った金額が引き落とされる事態は回避できる可能性が高いのですが、これが、即時口座から引き落とされてしまうデビットカードだとしたらなかなか深刻です。

もう、最初にカードを切った時点でお金が落ちちゃってますので。

運が良ければお金はすぐに戻りますが、運が悪いと2ヶ月程度お金が戻らないこともあるんですよ。

カード会社でいろんなトラブルに対応した経験から、わたしはデビットカードは全くオススメできませんし、今後も使うことはないだろうと思っています。

 

ちなみに、ここでわたしが言っているデビットカードというのはVISAデビット・JCBデビットなどのいわゆる「ブランドデビット」というカードについてです。

「デビットカード」には、「ブランドデビット」のほかにもう一つ「Jデビット」っていう国内だけで使える別の系列の仕組みも存在してまして、あんまり流行らなかったので知らない人も多いんですけど、微妙にくわしい人はブランドデビットとJデビットをごっちゃにしてしまって却って混乱しちゃうんですよね。

Jデビットもシステムにややクセがあって大変なんですよー。いやはや。

 

…と、まあ、デビット界隈はなかなかのカオスなんですよ。

カード会社の中の人でもよくわかってない人いるしね。

 

「お金が口座から即落ちる」というのは便利なようで危険なことです。

クレジットカードは一定期間の取引をまとめて後日引き落とすという仕組みになっていて、そこがデメリットのようにばかり言われますが、決済から実際の引き落としまでの時間は、取引がすべてにおいて正常だったかどうか確認するために必要な時間です。

旧来のクレジットカードの仕組みはそのままに、ただ引き落としだけを前倒しにするのが「デビット(ブランドデビット)」という仕組みです。

基本的にはクレジットカードと同じで、最終的には「ちゃんとなる」ようにはなってるんですけど、ちゃんとなる前に一旦自分のお金が抑えられてしまうのは果たして本当に「便利」なのでしょうか。

 

デビットカードは与信審査(その人に支払能力があるかどうかを確認してカード発行の可否を決めること)なしに発行できるクレジット(?)カードです。

クレジットカード業というのは、カード保有者を増やしてどんどんお店で使ってもらうことで成り立っている商売ですが、一方で与信審査に通った、限られた人にしかカードを発行することができないというジレンマを抱えています。

その「与信審査」の部分をすっ飛ばして、口座の現ナマを「信用」の根拠とすることでクレジット決済をさせる仕組みがブランドデビットカードです。

この仕組を利用すれば、今までクレジットカードを持てなかった層も(預金口座さえあれば)顧客にすることができます。たとえば、18歳未満の子供なんかでも。

 

お客の利便性ばかり強調されていますが、むしろこれはカード会社本位のなかなか乱暴なカードだとわたしは思います。

少なくとも、個人情報をむやみにさらしたくないと考える現金派の方にオススメできるようなシロモノではないと思います。

 

「デビットカード」についてわたしが少し知っていることを元に、個人的な見解を書きました。ご参考まで。