こちらの匿名ダイアリーについて思ったことを書きます。
このダイアリーの内容を要約すると...
カード会社社員である筆者が、会社の偉い人から「コンビニでの支払いにカードを使うか、現金か?」と問われた。
筆者は現金派。他の社員も多くが現金を使うと答えた。
それを受けての上司の話。
「日本にカード決済が浸透しない理由」は大きく分けて2つある。
- 使った金額が管理しにくく使いすぎてしまいそうだと感じる人が多いから
- カード決済できる店が少ないから
上記2つのうち、筆者自身は1.のほうが大きいと思っているが上司は
「お金の管理はユーザーが自分でなんとかするしかない、それよりそもそもカード決済ができる店が少ないから(カードの利用が少なくなるのだ)」みたいな話をされ、それについて違和感を感じた。
結局みんながカードより現金を使うのは、使える店が少ないからではなくて、自分がいくら使ったかを管理しづらいからなのに、カード会社は「決済できる店を増やす」努力をするだけで本当に良いのか?
ということを問いかける内容になっています。
さて、実はわたし、カード会社に勤めてたことがありまして。
元増田はわたしがいたのと同じ会社かな~、とか思うぐらい上の人は同じようなこと言うんですよね。
会社の上層部が各拠点にやってきて、会議のような勉強会のようなものを開く機会も多く、末端のパートのおばちゃんでさえそういう席には必ず参加するようにスケジュールが組まれていました。
それで思ったんですけど、この話、そもそもおかしいんですよね。
この話のとっかかりは「コンビニで物を買う時に、あなたは現金を使うかカードを使うか」という話でした。
最近では、一般的なコンビニでカード決済を導入していない店はほとんどありませんので、この話って本当は「クレジットカードが使えるはずのお店でカードを使わず現金を使うのはなぜか」という話なのです。
なのに、その流れで「カード決済ができる店を増やせばよい」という努力目標を示そうとするかのような方向に持っていくのは、完全に話のすり替えです。
カード会社のお偉いさんが「カード決済ができる店を増やす」ことを営業努力目標として示したいのはわかりますが、それならば、元増田が書いたような「近所のパン屋で現金しか使えなくて困った」みたいな経験談を引き出すような問いかけをするべきでした。
そういうインチキくさい話をするお偉いさんって実際わたしが働いていたカード会社にもいたので、ある意味リアルだなーとも思いました。そんなんだから、いくら勉強会をしても社員の士気が上がらないんだ。(これは元職場の話)
では、改めて、一般的なコンビニのようにクレジットカードが使える店であっても、現金決済が基本で、カードを出すのをためらってしまう人が多い理由は何でしょうか。
「お金の管理がしづらく無駄遣いが怖い」
こういう感覚を持っている人が一定以上いることは否定しませんが、それよりも心配なのはお金の管理の問題ではなくて、個人情報の方だと思います。
カード情報は数ある個人情報の中でも高度な個人情報だと言えます。
そんな大切で機密性の高い情報にはおいそれと他人にアクセスさせたくありません。
数万円という大金を持ち歩くリスクとそれを天秤にかけると仕方がないとあきらめが付くけれど、ほんの数百円のために、大事なクレジットカードをコンビニの店員に預けて相手方の端末に情報を読み込ませるのは割に合わないと考えるのは自然な心の動きだと思います。
カード会社で勤めていますと、多くのユーザーが「自分のカードを悪用されているのではないか」という疑念を抱いて問い合わせの電話をかけてこられることがわかります。
実際に悪用のケースも多々あるのですが、よく調べてみるとただユーザーが疑心暗鬼になっていただけで、丁寧に説明すれば「なーんだ」と納得されるようなケースも多いです。
このように、多くの方が自分のカードの情報が漏れることに対して警戒心を持っている状況があります。警戒心を持つこと自体は決して悪いことではありませんし、それを啓蒙するのもカード会社の仕事だったりします。
この流れで考えると、企業努力の方向として最も必要なのはセキュリティの強化ですが、一般ユーザーに染み付いた「恐い」という感覚は根強いし、セキュリティの話は一般ユーザーにとっては「難しくてよくわからない」。
その点現金は、最悪騙されても出した分だけで済みますからセキュリティなんて難しいことを勉強する必要はありません。
それならもう、現金持ち歩いちゃいますよね~。
というわけで、カードが現金に勝つのは現状では難しいと思います。
だからカード会社の営業努力は結局、
カード決済が出来るお店(=カード加盟店)の数を増やそうぜ!
という方向になります。
ただし、それも最近は下火です。今はネット決済の部署が花形です。
カード会社勤務をちょっとかじった元パートからの見解でした。