今日のはてなブックマークで見かけた記事より。
要約すると、
大学を卒業し、明日入社式を迎えようというのに、内定時に会社から指示された必要書類を何一つ揃えられないまま今日まで過ごしてしまった。
実家の親は自分の卒業を喜んでくれているけれど、この程度の事務手続きすら出来ない自分はまともに会社づとめできる気がしないし、明日の入社式にも行きたくない。
親に申し訳ない。
というような内容です。
この人が、自分で言うように「ゴミクズ」だとはわたしは思えません。
もしこの人に、近くでちょっと手伝ってくれるような人がいればこんな思いをせずに済んだだろうに、と気の毒に思います。
事務処理やスケジュール管理が困難な人というのは世の中に相当数存在します。
「たかだか2,3種類の必要書類を、半年以内に揃えるだけ」と一般的には思われてしまうかもしれないけれど、それができない人もいます。
だからといって、必ずしもその人が「無能」だとは言えないのです。
得手不得手は人それぞれだし、身近な人にサポートしてもらえばそれで問題なく済んでしまうようなことです。
同じく極端にそういったことが苦手な人でも、身近な人にサポートしてもらうことでトラブルを回避しながら、得意なことを生かして社会生活を営んでいる人も実はたくさんいるのです。
学位記を自宅に置いていても仕方ないから実家に送ったという記載から、この筆者の人は親元を離れて暮らしていることがわかります。おそらく、大学進学を機に一人暮らしをしていたのかな~、と思います。
もしこの人が実家にいて、家族のサポートを受けられていたらな、と思います。
実家に暮らしていなくとも、もっと気軽に相談したり手伝いを頼んだり出来る関係だったらよかったのにな。
住民票ってどこでもらえるの?
銀行の口座作るのってどうすればいいの?
半年後に必要って言われたけど、いつ頃準備始めればいいの?
そういえばそんなこと、学校では教わりませんよね。
わたし、いつのまに出来るようになったんだろう。わたしなんかもはじめは普通に親に手伝ってもらったりしてたんじゃないかという気がします。
これはうちの子が小・中学校に通っている間にすごく感じたことなのですが、小学校高学年から中学生になると、子供たちは学校などですごく「自立」ということを促されるようになります。
持ち物をきちんと揃えて忘れ物なく登校すること
制作物をひとりの力で仕上げること
提出物の期限を守ること
などの、事務処理方面でことにそのように指導される傾向があると思います。
これらを親に手伝ってもらっていることがバレると「自立ができていない」「恥ずべきこと」として叱られるので親に頼りづらくなってくるようです。
子供の忘れ物が多い、などと学校から注意を受けると親の方も心配になってくるのですが、だからといって直接的に手を出して手伝ってやろうとすると、「過保護」「本人が痛い目にあわないとできるようにならない」などと行動を制限する意見が外野とか夫婦間などから出たりしてどうにも出来ず、最終的には親も学校と一緒になって叱るだけに終始してしまうようなケースも多々あるように見受けられます。
結果として、子供は自己管理の困難さを乗り越える機会を失い孤立することになります。
塾などに行ってテストの傾向と対策を練ってもらったり、自分の苦手分野を教えてもらうなど、勉強のサポートを人にしてもらうことについては何も言われないのに、なんで事務処理を手伝ってもらったらダメなのか、不思議なことだと思いますけどね。
それだけ「自己管理」ということは簡単で、ひとりで出来てアタリマエのことだと思われているんでしょうね。
さて、そういった困難さを抱えていても、ある一定の年齢になり進学ということになると当たり前のように家を出て一人暮らしをするようになってしまう人もいます。
家から出ていった子供の困難さはいよいよ、親からは完全に見えないものとなります。ある意味見えないからこそ安心というか。親の知らないところで痛い目にあって勝手に成長しれくれればそれに越したことはないですよね。
でも、「痛い目にあえばできるようになる」というのはもともと出来る人にしか当てはまらないので、根本的に困難な人は痛い目にいくらあってもできないまま、どんどん自信を失っていくだけです。
それが上記の筆者の自称「ゴミクズ」発言に出ているような気がしてなりませんでした。
わたしも、親側の立場でも子側の立場でも悩んだことがあるひとりなので、全くの他人事とは思えませんでした。
成長過程で、本人の中にも親から独立したい気持ちが芽生えてくるので、学校の「自立」をむやみに促そうとしてくる教育方針をひとまず度外視したとしても、その辺りの親子の距離感って非常に難しいなと思います。
自立とは、誰にも頼らず何でもひとりで出来ること、ではないと思います。
自分の出来ること出来ないことをちゃんと把握して、必要なときには人に助けてもらえるようになるということも、自立に含まれると言っていいと思います。
筆者の人が実在するのかどうかわかりませんが、とりあえず入社式に出席できているといいなと思います。
そして、会社で親切な人事とか総務の社員さんに出会うなど、必要な助けを得て活躍されるようになることを祈ります。