あてもなく

誰かへの手紙

「パート」という働き方

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「専業主婦は外で働く人より価値が低いか?」問題について、続きの話です。

 

専業主婦の人には「働いていない自分」が世間に対して負い目があるように感じられる、という話でしたが、わたしはそれに対して「たとえばパートで働いたらそのモヤモヤは晴れるかといえばそんなことはないよ」と書きました。

パートという中途半端な働き方については語りつくせないほどの思いがあります。整理がつかないいろ~~んな思いを抱えて、昨年11月に退職しました。

本当はもうパートには戻りたくない気持ちです。だけど、わたしが次にまた外で職を求めるとしたらそれはパート以外にはないのかなと思います。

だって、わたしおかあさんだから(苦笑)

 

主婦が働くことを想定したパートの時給は安いです。最低賃金スレスレ。

仕事内容は、企業のコールセンターで電話を取る仕事でした。営業はしないので、「一般事務」という職種に分類されていました。

言っちゃナンですが、誰でもできる簡単な作業ではなかった、と思います。それでも時給がこんなに安いのは、「扶養」のことがあるからです。

103万の壁、130万の壁、などという言葉がありますね。

詳しい説明は省きますが、「あなたに、収入が少ない配偶者がいる場合は税金なり社会保険なりの負担を軽減してあげますよ」っていう制度があるため、妻は夫にとっての「収入が少ない配偶者」の範囲を出ないように働く工夫をする必要があります。妻が中途半端にたくさん稼いでしまうと世帯としては却って損になってしまうラインがあって、そのラインの入口のことを103万・130万の壁と呼ぶのです。

で、わたしの時給は辞めた当時1010円でした。一応、長く勤めると少~しだけ昇給する制度がありまして。勤め始めたときは900円でした。当時は最低賃金自体も安かったので。今同じ仕事を始めたとしたら960円スタートです。たしか。

 

私の場合、1010円の時給で週4日・6時間勤務をして、年収110万ちょっとになりました。103万の壁は超えるけど、130万の壁はセーフっていう絶妙な金額です。

(時給900円だった頃は、ちょっとだけ勤務時間を調整してもらって103万の壁もセーフにしてたんですけどね。最低賃金が上がってしまったので103万はあきらめました。)

このように、扶養の範囲を超えないように働きたいという主婦と、できるだけ人件費を抑えたい企業の、いびつなWin-Winの構造があって、主婦のパートの時給は安いのです。

 

でもね、実際に「扶養の範囲を超えないほうがお得」ってわかっていても、やっぱり自分の人生の大事な1時間に1000円程度の値段しかつかないことは、微妙にプライドというか矜持というか、そういう人としてちょっとデリケートな部分を削っていくものなんですね。

 

電話での仕事なので、担当者はお客様と1対1で対峙することになります。

お客様にとってはこちらが1000円そこらのパートなのか正社員なのか関係ないし、企業として責任ある対応を求めてこられるのは当然ですから、時には厳しく詰められる場面もあります。そのため、会社側もパートに対して正社員と変わらないぐらいの教育を行いスキル向上を促します。

それは会社にとってもコストがかかることなので、優等生的に考えれば目に見えない財産をいただいたということになるのかもしれませんが、わたしがスキルアップをしたところで1時間の価値は1000円より上がることはないわけですから、「やってらんねー」って気持ちになるときもあります。

 

主婦のパートさんは、優秀な方が多かったです。別に能力が足りないからパートなわけじゃないんですよね。

ただ、生活の中で「仕事が第一」にはできないから、時短で。

そして、扶養の範囲を超えないように低賃金で働いている。

 

これでも外で働く主婦は「輝いて」いられるでしょうか。

結局パートに出たって、自分の価値の低さをひしひし実感してしまうという状況にさほど変化はないように思いますし、家事負担の上に仕事自体のしんどさや時間の制約も上乗せされることを考えると、パートなんかやるより専業主婦のほうがまだ輝いてるんじゃない?

あくまでひとつの考え方としてですが、そう思ってしまいました。